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コラム

コンプライアンス教育とは(その1)

2021.07.26

「コンプライアンス」についての社会的認識は、年々高まっています。そのため多くの企業や団体で、就業規則や規定などの整備が急ピッチで行われました。しかし、就業規則や規定の整備を行っただけでは意味がないのがコンプライアンスの難しいところです。

コンプライアンスを徹底するために必要なのは、「コンプライアンス教育」です。しかしコンプライアンス教育のシステムについては、なかなか軌道に乗っていないというのが現状のようです。予算も限界がありますし、管理部署も仕事がいっぱいで全社員に徹底した教育ができません。今回は当社でも引き合いの多い、コンプライアンス教育の方法について取り上げてみたいと思います。

「コンプライアンス教育」は「コンプライアンス意識」を高めるための教育と言えます。「コンプライアンス意識」とは、問題に対してどのような事を行うべきかを意識し、行動することになります。したがって、「コンプライアンス意識」が向上すれば、企業の持つ社会的責任に対する意識も自然と向上するはずです。
社員に対する「コンプライアンス教育」を徹底するには、まず企業(特に経営陣や管理者)がコンプライアンスを守るために、省くことのできない必須の教育であるという意識を強く持っていただくことが大切です。

今回は第一弾段階として、まずコンプライアンスを知るために、コンプライアンスの重要性と実例について説明し、次回その2ではコンプライアンス教育の具体的な進め方について詳しくご説明させていただこうかと思います。

目次

  • コンプライアンスってそもそも何?
  • コンプライアンス違反の例
  • コンプライアンスは企業全員が取り組むべき問題
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コンプライアンスってそもそも何?

英語の「Compliance」を直訳すると、「従う事、従順、遵守、準拠」といった意味になります。日本のビジネスシーンで使われると「法令遵守」と訳されています。

「コンプライアンス」とは、元々は「何かを遵守する」という事を指しています。

1960年代のアメリカでは、高い経済成長の裏で、企業、団体、組織が独占禁止法の違反など様々な法令違反を犯していました。つまり「つかまらなければ利益のためにズルをする」という風潮です。その時代の国(政府)もそれを取り締まるだけのパワーはありませんでした。 こうした氾濫する法令違反への、社会規範上の対策として生まれたのが、コンプライアンスの概念です。法令違反を良しとしないまともな企業、団体、組織は、独自に対策プログラムを作成し、実践するようになりました。こうした健全化の動きは、国民に支持され、徐々に法令順守の動きは広がり始めます。

しかし、遵守する対象を法令だけにすると、法律を守れば何をやっても構わない、法律を守る事が全てという事になりかねません。もっと言えば、出し抜きたければ法律の隙間を探せば問題ないという解釈をされるかもしれないのです。

そこで、法令の遵守だけでなく、社会や顧客の信頼に応える企業になろうという風潮が高まり、現代では、世の中の常識や良識といった社会的な規範も守る事が含まれるようになりました。 具体的には、下記のような項目が企業コンプライアンスの内容になります。

    • 企業倫理
    • 社内規定の整備(マニュアル化)、運用
    • 企業の社会貢献
    • 企業のグローバル化による世界基準の対応
    • リスクマネジメント(ルールの設定や運用、環境整備)

このように、現在のコンプライアンスには、法律を越えた高い企業理念や、厳しい倫理規定の実践が求められています。また、企業の社会的責任も、企業コンプライアンスの重要な要素となっています。社会的責任を果たし、社会的に企業が高評価であればあるほど、企業のブランド力を向上させ、企業を拡大させる助力となるのです。

コンプライアンス違反の例

「コンプライアンス」の言葉の意味するところはなんとなくわかっていただけたかと思いますが、実際にどんなことがコンプライアンス的にアウトなのかを、事例を絡めて簡単に上げてみたいと思います。

顧客から集めたアンケート情報の取り扱い

アンケート情報の取り扱いはコンプライアンス違反として問題に上がりやす事例です。 目的を明示して、顧客の了解の上アンケートを取ること自体は問題ありません。しかし、後日別件でそのアンケート情報を他の部署で利用するとなると話がことなります。同じ社内で利用するのであれば、問題はないと考える人は多いようですが、事前に説明した目的以外のケースでの利用に関しては「承諾していない」とみなされ、コンプライアンス違反となります。

下請法に抵触する問題

取引の一環とは言え、仕事の委託先に対してコストダウンを強要したり、スケジュール的に無理な作業の依頼などは下請法に抵触するコンプライアンス違反になります。それがもとで品質低下や事故なども起こりうるので、しっかり考えるべきことです。

有給休暇の取得拒否

有給休暇は、法律で認められている権利なので、取得を上司が拒否することはコンプライアンス違反となります。ただし、業務の状況によっては、管理者が変更を求める事が可能であると法律上定められています。つまり、業務上、休まれると支障が出るようなケースでは、上司が拒否をしてもコンプライアンス違反にはなりません。

勝手に残業するとコンプライアンス違反

知らないと、意外なことでコンプライアンス違反となります。その顕著な例が、日々の残業です。 忙しいとき、残業するのは当たり前と思っている社員の方も多いかと思います。各企業とも就業規則によって、残業に関して定めているはずですが、法的には残業は上司の命令によって行うものと決められています。その為、上司の了承を得ずに行うと就業規則を守っていない事となり、コンプライアンス違反となってしまいます。

この場合の違反者は、勝手に残業を行った本人だけでなく、監督できなかった上司も違反となります。日々の残業ですらこうなので、休日出勤も同様になります。 残業や休日出勤などの、不当な長時間労働やサービス残業は、労働基準法に違反する行為ですので、たびたび問題になります。企業はコンプライアンス制度に関する窓口を設けておく必要があります。

昼休みを多く取ったので、その分サービス残業を行うと2つの点で法令違反

昼休みを多くとってしまった場合、その分の差をサービス残業で埋めると、実質的な労働時間に変わりは無いので問題ないように思えるかもしれませんが、これは2つの点でコンプライアンス違反になります。

一つ目は、「昼休みの取り方が就業規則通りでない」という点で違反。
もう一つは労働に専念するという義務を意味する、「労働契約」に対する違反。つまり、専念していませんし、上司から指示されるべき残業を勝手に決めたという点でも違反です。

お中元やお歳暮にも気をつける

取引先から物品を渡される場合は、コンプライアンスに違反しないような対応をする必要があります。就業規則によって、贈答が禁止されている場合は、理由を話して丁寧にお断りします。就業規則で禁止されていない場合は、上司に報告し、管理部などで処理してもらい、自分で全部着服しないようにします。逆に取引先に対して贈答を求めるような行為もコンプライアンスに違反してます。

副業のコンプライアンス違反は就業規則による

就業時間外は、その名の通り就業規則の枠組みの外という意味なので、企業が行動を制限する事はなく、自由に行動して構わないはずです。
しかし、就業時間外であっても副業については注意すべき問題がいくつかあります。例えば、公務員の場合は、副業は公務員の法律で禁止されているので、完全に違反です。

では、民間企業の場合はどうなるかというと、就業規則によります。就業規則で制限されているのに副業を行うと、コンプライアンス違反になります。副業禁止については、就業契約の問題になります。なので、契約時の合意があれば制限されることは違法ではありません。

社員の住所を勝手に教える

社員名簿には、名前、住所、生年月日などの個人情報が多数掲載されています。社員は、これらの個人情報を企業に提供しています。これらを社外に口外したり、社員名簿を業者に渡すことは、個人情報保護法に違反した行為として、コンプライアンス違反になります。クレジット会社などを名乗る会社宛の電話に、うっかり教えてしまわないように注意しましょう。

退職先企業の機密情報の漏洩

転職理由が、退職先企業に対する不満の場合、腹いせに機密情報を漏洩させる事件は後を絶ちません。転職先の企業で早く成果を上げたいと思う気持ちもあるかもしれませんが、機密情報は、その企業が持つ資産や財産なので、完全にアウトです。つまり退職先企業から契約違反、著作権の侵害、営業機密の不正使用などで訴えられます。

転職先で自分自身が持つスキルや経験、ノウハウを生かすことは何ら問題はありません。なので、この手の訴訟では「機密情報であるかどうか?」が争点となります。

インサイダー取引

例えば友人からの情報によって、値上がりの予想される株式を購入すると、インサイダー取引になります。インサイダー取引は、重要な情報を公開する前に、社員や関係者がその会社の株式の売買取引を行うという事を禁止した金融商品取引法上で禁止された行為です。つまり、法令遵守を意味するコンプライアンスの違反実例となります。

友人なので、社員でも関係者でも無いからセーフとはなりません。重要な情報を公開前に知らされた時点で、社員や関係者と同等の立場として考えられるからです。家族や出入りの関係者なども同様です。

ソフトウエアの使いまわし

ソフトウエアのライセンス形態はさまざまですが、中には1本だけ購入して複製し、社内で使いまわしてコストを節約しようとする企業があります。例え最初の1本分の代金を払っていてもライセンス条項にそぐわないソフトウエアの社内流用は、著作権侵害なので、法令遵守を意味するコンプライアンスの違反しています。実際に、企業が損害賠償請求を受けるケースが多いです。

選挙に関することは企業内に持ち込まないことが基本

就業規則では、勤務時間中の政治活動や宗教活動を禁止しているケースがほとんどです。一般的にも、日本の企業風土として定着しているので、OKと書かれていなければ、アウトと判断されます。知人からポスターを貼らせて欲しいといった選挙活動は断りましょう。企業全体で選挙活動を後押しするのも公職選挙法や憲法違反として、コンプライアンス違反です。

コンプライアンスは企業全員が取り組むべき問題

このようにコンプライアンスは、経営者のみが意識すれば良いルールではなく、働く社員全てが、その意識を持ち合わせる必要があります。なぜなら一人の社員が、上記のようなコンプライアンス違反を起こすだけで、企業全体の信用を失墜してしまうことは少なくありません。信用低下の度合いによっては、倒産という事態を招くこともあります。

雇用形態も関係ありません、アルバイト、パート、誰であっても、コンプライアンスは遵守しなければならないのです。最近では、派遣やアルバイトといった、「人材の流動化」がもたらすコンプライアンス問題が発生しております。

かつて終身雇用が中心の時代では、「会社 = 自分の人生の一部」という意識が強かったので、会社に対する高い忠誠心を社員が持ち合わせていました。そのため、社内情報も漏れる事はあまり無かったので、企業コンプライアンスを整備する必要が無かったとも言えます。人材の流動化が進行が、会社に対する責任感や忠誠心の薄れにつながり、社員同士の仲間意識も薄れてきたので、ルール違反があればすぐに表面化するようになりました。

さらに、TwitterやFacebookなどのSNSが、個人のコンプライアンスを簡単に世間に広めてしまうという要因も大きいです。このように雇用形態の変化や、ネット社会の進行が企業コンプライアンスに強い影響を与え、企業コンプライアンスの整備は急務となっています。

次回その2では、コンプライアンス教育について、そのやり方についてご説明する予定です。 最後までお読みいただきありがとうございました。

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