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SCORMとは

企業や学校などでLMSを導入している方は「SCORM」という言葉をよく耳にするかと思います。eラーニングを導入する上で、SCORMはある意味避けて通れないキーワードです。


今回はその「SCORM」について解説をしていきます。



目次



eラーニングを実施する上で避けて通れないキーワード「SCORM」

SCORMは「スコーム」と読むのですが、正式名は「Sharable Content Object Reference Model」となり、意味的には「共有可能なコンテンツオブジェクト参照モデル」という意味です。

ザックリ一言で言うなら、「せっかく作った教材を、いろんな環境で使いまわしできるようにするための教材構造の世界標準規格」という感じでしょうか。。。

「いろんな環境」といっても主にLMSを指し、「使いまわし」するためには「一定のルールにのっとった形式」で作られる必要があります。



「SCORM」にはバージョンがある

そのルールを決めているのは米国のADL(Advanced Distributed Learning)という標準化推進団体です。 日本では、日本イーラーニングコンソシアム(eLC)がSCORMの講習や技術者資格(SCORM技術者資格)の認定を行うなど、普及活動を担ってます。 SCORMにはバージョンがあります。ADLによってバージョンアップされ、種類がいくつかありますが、多少運用の混乱もあり、普及しているバージョンは「SCORM 1.2」「SCORM 2004」の2つです。自分が利用しているLMSが、どのバージョンのSCORMに対応しているかについては、ちゃんと確認する必要があります。



SCORMとLMSの関係

SCORMで作られたコンテンツを表示するには、「LMS(学習管理システム:Learning Management System)」が使われます。LMSは学習教材の配信や成績などを管理するシステムのことです。 LMSについてまだ説明しておりませんので、わかりにくいかもしれませんが、要は教材を搭載して、学習者が閲覧できるようにするシステムです。教材を管理するのと同時に、学習者の進捗なども記録します。 LMSには製品として販売されているものもありますし、大学などで開発され、無償で利用できるものもあります。eラーニングを導入している多くの企業で、何らかのLMSを導入して社員教育を行っています。


以前は、LMSは様々企業や団体で各々勝手に開発されているため、そこに教材コンテンツを搭載するにはそのLMSの「仕様」に合わせてコンテンツを作る必要がありました。しかし、導入したLMSの会社がつぶれたり、LMSを乗り換えたりした場合、コンテンツを新しいLMSに合わせて作り直す必要がありました。そのコストは膨大です。 また、教材を作るのが仕事のコンテンツベンダーとしても、お客さんの使っているシステム毎にコンテンツを移植して用意するのは至難の業です。 どんなに良い教材でも、うちのシステムに載せられない。。。そんな時にSCORMです。


SCORMの規格に沿ってコンテンツを作ることにより、SCORM対応LMSであれば、LMSを変えてもコンテンツが使えるという発想のもとにSCORMは広く普及しました。実際は各LMS開発側のSCORMの解釈の違いや、勝手に機能をつけ足したりしたので、まったくの調整なしに載せられるということはないのですが、それでも教材作成側は、SCORMを合言葉に信じてコンテンツを作っています。



SCORM の仕組み ~APIアダプター~

SCORMを語るうえで、教材コンテンツを配信するLMSとの連携が主目的であることは先に述べました。このLMSと教材コンテンツが「学習履歴」などの情報をやり取りする共通のルールがSCORMであることもわかっていただけたかと思います。

ではどうやってやり取りするのか?その要の仕組みが「SCORM APIアダプタ」です。

SCORM規格では、教材コンテンツにより生成された学習履歴は、SCORM APIアダプタを通じてLMSに送られ、記録されます。

順番を整理するなら、下記のようになります。

 

SCORM APIアダプタ

  1. 教材コンテンツを学習すると、修了や得点などの履歴データが作られる

  2. 教材コンテンツはこの履歴データをいったんAPIアダプタに送信する

  3. APIアダプタはそれをLMSに送信する

 

つまり、教材コンテンツはLMSの流儀を知らなくても、SCORM APIアダプタと話ができればOKなわけです。

逆に言えば、LMS側が、自分に合ったSCORM APIアダプタを用意しておけば、教材コンテンツはSCORMに沿ってさえすればいいのです。

以上の流儀は履歴のやり取りのルールですが、もう一つ守るルールがあります。



コンテンツアグリゲーション

コンテンツアグリゲーションとは、教材コンテンツの構成や内容をSCORMのルールに従って記載することにより、検索性や再利用性を高める役割を持ちます。 具体的には「Manifest(マニフェスト)」と呼ばれるXMLファイルを作成し、そこに教材のタイトルや概要、製作者、関連キーワード、バージョンなど、使いまわしする際に役に立ちそうな情報を記載します。 もう一つ、大切なのが、教材コンテンツの構成も記載する必要があるということです。XMLで教材の構成を階層構造で表現し、これが目次となって、学習者が学習する際の手掛かりとなります。




次世代SCORM

SCORMは、コンテンツを作る際には意識すべきデフォルトのフォーマットではありますが、普及のスピード自体はそれほど早くないというのが個人的な印象です。とはいえ、技術は進歩するものなので、ADLでは、SCORM2004の後継となる次世代SCORMについて2013年にVer1.0リリースしました。


次世代SCORMは、「Tin Can(空き缶の意味)」と呼ばれ、既存のSCORMとはちょっとニュアンスが違います。 個人的な印象としては、「個人の学習履歴を貯めて、それをLMSとやり取りするためのインターフェイでは規格」という感じです。SCORMはコンテンツ構造記述をXMLで書きましたが、Tin Canではそこは対象外として、決めていません。同じようにシーケンシングも同様です。 Tin Canについては、また別の機会にまとめてご紹介いたします。



最後に

SCORMの概要としては、上記のような内容ですが、詳しく調べるのであれば、日本イーラーニングコンソシアムのサイトをご覧いただくのが良いかと思います。






今回は概論的な内容でしたが、SCORMコンテンツの制作や実装には色々とTipsがあり、機会があればその辺もご紹介したいと思います。 次世代規格も出て、古い規格というイメージを持たれがちなSCORMですが、私どもの仕事としてはまだまだ引き合いの多い状況なので、eラーニングに関わる方にはぜひ知っておいてもらいたいと思います。


お読みいただきありがとうございました。

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