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コラム

EQとは

2021.08.02

IQ(Intelligence Quotient)については、もはや説明を必要としないほど定着した言葉と思いますが、最近注目されている「EQ」についてはみなさんどうでしょうか?
関係者間で話題として挙がっても、「なんとなく知ってる」「意味は知ってる」「IQと違うのはわかる」と言った感じの方が多いように思えます。
今回はこの「EQ:Emotional Quatient」について、IQとの違いも含め、簡単に説明していきたいと思います。

目次

  • IQとは何だったか?
  • IQが高いことは知能が高いのか?
  • 社会生活をする上での知能を測るにはどうすればよいのか?
  • EQとは
  • EQの測り方
  • EQを高める教育
  • EQの高い人材のメリット
  • 最後に

IQとは何だったか?

EQの説明の前に、おなじみのIQ(Intelligence Quotient)についておさらいさせていただきます。

IQは「知能検査(IQテスト)」の結果を数字であらわしてます。テストによって人の知能の基準を数値化したものなので、値が高いほど知能が高くなります。

算出方法にはいくつかありますが、長いこと主流で使われていたのが、「生活年齢(実年齢)と精神年齢(知能)の比」を基準として、テストの結果を割り振って算出される知能指数です。具体的な式は「精神年齢 ÷ 生活年齢 × 100」となり、100に近いほど出現率が高くなります(つまり人数が多い)。

最近は「同年齢集団内での位置」を基準とした「偏差IQ(Deviation IQ, DIQ,偏差知能指数、偏差値知能指数)」というものがメインで使われています。
「同年齢の集団においてどの程度の発達レベルなのか」を把握するために、年齢別の平均値を基準として知能指数を算出します。テストの結果を「同年齢集団内での位置」から算出するので、中央値が100として、100に近いほど出現率が高く、100から上下に離れるに従って出現率が減っていくことになります。
※偏差IQが主流になった経緯としては、「精神年齢 ÷ 生活年齢 × 100」の式では、年齢が高くなるにつれて値が低く算出されるという問題が発見されたためです。

では、やはり気になるのは数値ですよね。世界保健機関(WHO)の基準では下記のようにランク付けされています。ご自身の数値を覚えている方は当てはめてみて下さい。

    • 130以上:きわめて優秀
    • 120~129:優秀
    • 110~119:平均の上
    • 90~109:平均
    • 80~89:平均の下
    • 70~79:境界線級/ ボーダーライン
    • 70未満:知的障害

IQが高いことは知能が高いのか?

さて、このIQですが、「IQが高い=知能が高い(頭が良い)」ということになるのでしょうか?
「知能」の定義を心理学の視点で見ると、果たしてこのIQがどれだけ生活するうえでメリットがあるのか、ちょっと疑問に思えるかもしれません。
「知能の定義」については時代や学者によっても諸説ありますが、代表的な例として下記の3つの定義があります。

ルイス・L・サーストンの知能の定義

言語、数、空間、記憶、推論、語の流暢さ、知覚

ハワード・ガードナーの知能の定義

言語的知能、論理的数学的知能、空間的知能、音楽的知能、身体運動的知能、対人低知能、博物的知能、内省的知能

デイヴィッド・ウェクスラーの知能の定義

目的別に行動し、合理的に思考し、効率的に環境を処理する個人の総体的能力

上記3名はともにアメリカの心理学者で、発表が古い年代から順番に記載してます。同じ「知能」を定義しても、いろいろな能力を含んでいることがわかると思います。
狭義のIQの場合は、サーストン教授の定義で当てはまりそうですが、人材教育などでもよく目にするガードナー博士による定義には「対人低知能」「内省的知能」と言った狭義のIQでも偏差IQでも測れそうにない内容となってます。

こうしてみると、既存の知能検査で測定できるのは、知能の定義のうち、主に「言語的機能」や「論理数学的機能」と定義される能力に限られているんですね。
つまり、知能検査で計ることができる能力は知能の一部なので、知能指数が高いと「頭が良い」とは単純に言い切ることはできず、「言語的・論理数学的機能において優れている」ということなります。

社会生活をする上での知能を測るにはどうすればよいのか?

では、「賢い人」と考えるとどうなのでしょうか?

これまたいろいろな解釈があると思いますが、ここでは「仕事などの社会生活をするうえで知能が優秀な人」という観点で考えてみます。
そこで「社会生活をする上での知能を測るにはどうすればよいのか?」という観点から新たに作られた指標が「EQ:Emotional Quatient(心の知能指数)」になります。

以前コンピテンシーの用語説明で、ハーパード大のデイヴィッド・マクレランド教授の「学歴や知能レベルが同等の外交官が、駐在期間に業績格差が付く理由はなぜか」という調査の話を書かせていただいたかと思います。成績優秀・IQの申し子と言うべき外交官職でも、「学力よりコミュニケーション力や人間性が、外交官の適性においては重要である」という結果が出ていました。正確にはIQではなく、学力なのですが、たとえIQやDIQが高くても、同様のことが言えると思います。

では、いよいよ本題の「EQ:Emotional Quatient(心の知能指数)」について、詳しく見て行こうかと思います。

EQとは

EQ(Emotional quotient または Emotional Intelligence Quotient)は、日本語に訳せば「感情知能指数」といった感じになるかと思います。

定義的には「自己の感情を自己管理するとともに、他人の感情を適切に理解・共感する能力を測定する指数」となります。感情の働きを踏まえて、自分や相手の感情をうまくコントロールする能力なので、知能指数を指すIQに対比して、「こころの知能指数」とも呼ばれています。

歴史的には、ピーター・サロベイ博士とジョン・メイヤー博士によって1990年に提唱されたました。二人は、学歴や知能などではなく心理学の立場から、ビジネス社会における成功の要因とは何かを探り、「感情をうまく管理し、利用できることは、ひとつの能力である」としてEQの考え方を示しました。

論理的ではあるが、言い方が悪いため、相手から反抗されてしまったり、博学で優秀だが、場の空気を読めず、余計なことを言って雰囲気を悪くしたりするのはEQが低い結果ととらえます。

EQは先天的なものではないので、トレーニングで能力を上げていくことができます。EQでは、感情を扱う知能を「識別」「調整」「理解」「利用」の4つに大別し、おのおのの使い方を習得したり、弱いエリアを強化することで、人間関係を円滑に運用できるようになるのです。

やがてEQは、対人関係スキルを重視するアメリカのビジネスの現場で注目されるようになりました。日本でも企業や研修だけでなく、教育現場における人材育成などにおいて各自治体などでも広く取り入れられるようになってきています。特に新人研修だけでなく、マネージャーなど管理職など、ベテランに効果があると言われています。

EQの測り方

EQについては研究が進められているため、様々な測定方法がありますが、もっともメジャーな心理学者のダニエル・ゴールマンの開発した「ミックス・モデル」で説明させていただきます。ミックス・モデルには5つの重要な要素があります。

  • 自己認識力

    自分の感情がわかっているということ指します。

  • 自己制御力

    自分の感情が爆発しそうになった時に抑制できる力です。反対意見の人と落ち着いて議論をできたり、感情が溢れだすのをコントロールする力、自己憐憫(じこれんびん)やパニックなどの自分を弱める行為を避けることができることも含まれます。

  • 意欲

    お金や地位のような報酬が動機になるのではなく、個人の喜び、好奇心、生産的であることに対する満足感のために生まれる意欲が出せる力です。

  • 共感力

    他人の気持ちをくみ取る能力や行為で、それに対して適切な反応をすることです。

  • 社会的能力

    他人に共感するだけでなく、自分と他人のニーズを交渉する能力のことです。他人との合意点や着地点を見つけたり、仕事で他人を管理したり、説得力があることも含みます。

上記の5つの項目を、「EQ行動特性検査」などのテストで分析し、数値化します。

「EQ行動特性検査」の結果を項目化したものの例としては、下記のような分類分けをよく見ます。

  • 心内知性(セルフ・コンセプト)

    • 自分の心理状況を捉え、コントロールする知性
    • 自己認識力やストレス耐性、気力創出力など
    • 項目:私的自己意識、社会的自己意識、抑鬱性、特性不安、自己コントロール、ストレス対処、精神安定性、セルフ・エフィカシー、達成動機、気力充実度、楽観性など
  • 対人関係知性(ソーシャル・スキル)

    • 自分の考えや気持ちを適切かつ有効に相手に伝え、相手に働きかける能力
    • 自己表現力やアサーション、対人関係力など
    • 項目:情緒的表現性、ノンバーバル・スキル、自主独立性、柔軟性、自己主張性、対人問題解決力、人間関係度
  • 状況判断知性(モニタリング能力)

    • 相手の様子や立場を理化し、自分との様子を客観的に観察する能力
    • 対人受容力、共感力など
    • 項目:オープンネス、情緒的感受性、状況モニタリング、感情的温かさ、感情的被影響性、共感的理解

聞きなれない項目も多いので、いくつかご説明します。

  • 社会的自己意識

    他人が自分のことをどう思っているかを気にすることで、強いことにより、周囲の期待に沿って行動するので、ルールを守ったりする傾向が出てきます。

  • 特性不安

    何か始める前に不安が先行しがちな人です。初対面の人と打ち解けるのに時間がかかる傾向があります。

  • セルフ・エフィカシー

    自分の能力に自信がある人が高いです。自信があるので、何事も挑戦する傾向があります。

  • 情緒的表現性

    自分気持ちを素直に伝えられる人です。喜怒哀楽がストレートな傾向があります。

  • ノンバーバル・スキル

    ジェスチャーなどの言葉以外の表現力です。プレゼンなどで力を発揮します。

  • オープンネス

    心を開いて、分け隔てなく接することができる人です。相手の話をよく聞く傾向にあり、信頼されます。

  • 情緒的感受性

    相手の言葉のニュアンスや表情などを読み取り、相手の気持ちや真意をつかむ能力です。

  • 状況モニタリング

    置かれている状況や人の動きを客観的に観察する力で、それを使って臨機応変な態度ができる人です。

  • 感情的被影響性

    他人の感情に引きずられやすい性格です。自分も冷静な判断ができなくなってしまうケースがあります。

EQを高める教育

EQを高めるための研修は、管理職に特に効果が大きいと言われてます。

管理職は部下の育成が命題ですが、管理職のEQスキルが低いと部下の成長を妨げてしまう場合もあります。部下の感情の動きを読み取りながら、対応の仕方を工夫するという柔軟な対応ができるようになれば、部下のやる気を醸成し、職場の活性化にもつながります。また管理職がEQを高めて、感情コントロールができるようになれば、トラブルや困難な課題に対しても自分を鼓舞し、高いモチベーションを維持することができます。

効果的なEQ研修を行うため、まず事前にEQ検査(EQ行動特性検査)を受検する研修プランがほとんどです。
事前にEQ行動特性検査を受けることにより、自分のEQの発揮度合いと他者・職場への影響を自己理解できます。
また、組織(受講者全員)のEQ平均と自分のEQを比較することにより、今の自分の状況との突き合わせ(強みと課題)の発見することができます。

後はEQを伸ばすために、専門講師によるレクチャーやワークショップを行います。
具体的には、EQについての理解を深めるレクチャーを受け、事前の診断結果を参考にアイスブレイク、自己プロファイリングを行い、二人一組による相互分析とフィードバック、フィードバックで自己理解を深め、自分の「強み」「弱み」の整理し、最後にはEQを踏まえて具体的な能力開発の行動計画を策定したりします。

EQ研修は、自己のEQを認識するとっかかりとしては効果的だと思いますが、実際は日々のトレーニングが大切だと思います。毎日の仕事などの社会生活の中でしかEQを鍛えることはできないからです。

また、EQは遺伝などの先天的要素が少なく、教育や学習、訓練を通して高めることができる能力です。つまり適切に訓練・努力すれば、その発揮能力を高めることができるのです。「EQというのは能力であり、EQを発揮することは自分の能力を発揮することだ」という意識を持つことは、EQを高める第一歩です。

EQの高い人材のメリット

EQがビジネスを遂行する上で大切な能力であることは明白かと思います。会社としてEQ教育を行うことは、「人に強い人材」を見つけ、育てることになります。

社員のEQが上がることにより、個人の業績のアップや、チームワークの高まり、育成などマネージメント力アップ、取引先との良好な関係などが期待できます。また、個人のストレス耐性があがりますので、メンタルヘルス不調による休職・退職を減らせるといった効果も報告されています。

こうした企業にとって有益な人材ですから、もちろん採用時に獲得できるのにこしたことはないのですが、前出の通り先天的要素が少ないので、入社後でも十分伸ばすことができます。ぜひ企業として積極的に取り組んでいただきたいと思います。

最後に

IQが「記憶し、知識として生かすことで問題解決を行う能力」とするなら、EQは「感情を管理・利用することで、問題解決のための適切な思考や行動に導く能力」です。業務をこなすのに、IQは欠かせませんが、その時々の感情の状態によって発揮度は差が出ます。感情をコントロールできるEQを発揮することで、IQを十分に発揮することができるようになるのです。

また、EQをどう活用させれば結果を得られるかと考え、結論を出すのはIQとも言えます。

どちらか一方だけでなく、両方を上手く活用することが大切なんですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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