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コラム

マインドセットとは

2021.11.02

人材育成の仕事をしていると、「マインドセット」という言葉をよく使います。
業界内的には、「日本語として通用する英語」と思ってそのまま使っているのですが、ちょっと業界から外れると通じてないと感じることがあります。

今回はこの「マインドセット」という言葉の意味と、人材教育的な面での意義を、もう一度考えてみたいと思います。

目次

  • マインドセットとは
  • 成功するマインドセット
  • リーダーに求められるマインドセットと企業におけるマインドセット教育
  • 企業(組織)のマインドセット
  • マインドセットを変えるマインドセット教育
  • 成功するためのマインドセットを育む7つの習慣
  • 最後に
  • 関連記事

マインドセットとは

「マインドセット」とは、その人の経験や受けてきた教育などから形成される考え方の癖のようなものだと思います。
「マインドセット(mindset)」という英単語の意味を辞書で引くと、「1. 〔人の固定された〕考え方、物の見方」「2. 〔人の〕好み、習慣」と説明されています。
2つ目の「習慣」が表すように、「その人の行動や思考のパターン」と言った「無意識にやってしまうこと」なのです。

例えば、マインドセットの違いが現れるケースとして、「失敗した時にどのような思考・行動をする傾向があるか」というのがあります。
トーマス・エジソンは、「私は失敗したことがない。ただ、1万通りの“上手くいかない方法”を見つけただけだ」と言う名言を残しています。エジソンは、「1万回も失敗したから成功する方法は存在しないんだ」と考えるのではなく、「上手くいかない方法を1万通り発見できた」と考えました。この例でいえば、マインドセットは「思考や行動の傾向性」でもあるかと思います。

こうした人の意識や心理状態は、多面的な様々なマインドの「セット」として表現したものがマインドセットです。
したがって、価値観、先入観、信念、暗黙の了解事項、無意識の思い込み(パラダイム)、陥りやすい思考回路などがマインドセットの中に含まれます。

このマインドセットは、その人の職務に必要な知識や技能を明確に意味づけるのに役立つため、人材育成のテーマとしてよく選ばれます。なぜなら、同じ知識や技能を学ぶにしても、その意味や目的を意識するのとしないのとでは、結果に大きな違いが出るからです。

では、仕事に役立つマインドセット、ここでは「成功するマインドセット」と呼びますが、それがどういったものかを考えてみたいと思います。

成功するマインドセット

成功する人としない人の違いは、マインドセットの違いであると、スタンフォード大学心理学教授のキャロル・S・ドゥエック博士は著書でベストセラーとなった『マインドセット「やればできる!」の研究』の中で述べています。

ドゥエック博士は「成長志向のマインドセット」の研究の第一人者です。博士はマインドセットの例として、「解決するにはちょっと難しい問題」を提示されたとき、人間は2種類の思考パターンに分かれると説明しています。
1つは「自分は解けるほど頭が良くない」というあきらめの気持ちを持つ人。もう1つは「まだ解けていないだけ!」というチャレンジや期待を持つ人です。

以前「グリット(Grit)とは」で説明した通り、マインドセットのタイプとして「グロース(成長志向)マインドセット」と「フィックスト(固定的)マインドセット」があります。
常に向上心を持って、ある種の楽観的な部分を持ち合わせて、失敗にもへこたれないタイプが「グロース(成長志向)マインドセット」でした。グロースマインドセットを持ち合わせた人には成功者に多く、他人の評価ばかり気になって、変わらない価値観やこだわりが強い「フィックスト(固定的)マインドセット」の人の中には成功者が少ないといわれています。

マインドセットについて「靴のセールスマン」という有名なたとえ話があります。
靴メーカーで働く2人の営業マンがいました。彼らは上司から「アフリカでの靴の市場調査をしてきてくれ」という命令を受けます。
彼らがアフリカに着いて人々を見ると、靴を履いて生活する習慣をもっておらず、ほとんどの人が裸足ででした。

この状況に2人の営業マンは同じように驚き、上司へそれぞれ別に報告します。
一人の営業マンは上司に対して 「アフリカでは誰も靴を履いていないため、靴の需要はなく販売は困難です。」と報告しました。
もう一人は 「みんな裸足で生活しており、今なら市場を独占できる絶好のチャンスです!」と答えました。
後者は成功を引き寄せることができるグロース・マインドセットを持つ人の発想で、前者はフィックスト・マインドセットであることがわかる事例です。

非常に有名な逸話ですのでご存知の方は多いでしょうが、恐ろしいのは日常において判断を迫られたときに、知識として持っていても、私たちは無意識のうちにマインドセットの影響を受け、自分の人生を決定していることです。
この無意識の判断がマインドセットの根本であることを意識し、改善していけばおのずから成功に近づけます。

問題を効果的に解決できるか、シビアな交渉事や対立を粘り強く乗り越えられるか、そうした点で成長志向のマインドセットを持つ人のほうが勝っており、かつ倫理観が高いこともわかっています。

思考パターンを変更することは簡単なことではありませんが、脳の処理能力の一つですので「やればできる」「必ずできる」ものだとドゥエック博士は説明しています。

偉人の「名言」に現れるマインドセット

マインドセットは「言葉として言い表されるもの」ではなく、あくまでも「その人の行動や思考のパターン」ですが、発言した言葉の中に現れていることがよくあります。いくつかご紹介いたします。

  • 「成功と失敗の一番の違いは途中で諦めるかどうか」
    ~スティーブ・ジョブス
  • 「失敗とは成功する前に止めること。成功するまで続ければ必ず成功する」
    ~松下幸之助
  • 「大切なのは、疑問を持ち続けることだ。神聖な好奇心を失ってはならない。」
    ~アルベルト・アインシュタイン
  • 「漠然とした不安は、立ち止まらないことで払拭される」
    ~羽生善治
  • 「努力は必ず報われる。もし報われない努力があるのならば、それはまだ努力と呼べない。」
    ~王貞治

リーダーに求められるマインドセットと企業におけるマインドセット教育

成長志向のマインドセットが組織にプラスに働くと言われる理由は、マインドセットが周囲にいる人にも伝染するからです。例えば、上司やリーダーのマインドセットは態度などで部下などに大きく影響します。

リーダーになる人には「リーダーシップ」がないといけません。リーダーシップは、命令や指示を出すのではなくリーダー自らが行う行動で、部下や後輩を導くことが大切です。
「リーダーに必要とされるマインドセット」として、次の4つがよく挙げられています。

    • 変化
    • 率先
    • 指導
    • 倫理と思考

この中でその人が意識を変えることで実行しやすいのが「変化」と「率先」です。
自分が変化し、率先して物事に取り組む姿勢は、他の人の心を動かします。例えば「難易度が高い仕事を率先してやってみせる」とか、「新たなビジネスやプロセスを積極的に取り入れる」などをリーダー研修に取り入れて、リーダーや社員のマインドセットを改善していけば、その組織は活性化し組織そのものの成長につながるはずです。

企業(組織)のマインドセット

組織のマインドセットとは、その組織構成や歴史を背景に、企業戦略、経営理念や経営ビジョン、製品やサービスの方向性などを指します。つまり、企業の意思決定のうえで重要な役割を担っており、今後の達成目標や対象とする相手、利用できる手段等を定める際の指針となるものです。

組織のマインドセットを形成する要素として代表的なのは、以下の3つです。

  1. 製品特性、事業特性
  2. 戦略、ビジョン、企業理念
  3. 企業が経験してきた出来事

「製品特性、事業特性」の例でいえば、業態や取り扱う商品によっては、近年販売サイクルや新商品開発のスパンが短くなり、意思決定のスピードを早くする必要があります。そのため、内部の人間にはリスクや意見対立を恐れない組織文化が求められます。

「戦略、ビジョン、企業理念」は経営者やリーダーが率先して明確でわかりやすいビジョンを作り、組織に知らしめることで、その組織がそのビジョンに沿って行動すべく強固なマインドセットを形成するようになります。

「企業が経験してきた出来事」はわかりやすいと思います。事故や業務上のトラブルが原因で、それまでのマインドセットのありかたを失ってしまったり、方向性が真逆になったりすることがあります。ベンチャー時代、若いメンバーで構成された企業が、素早い意思決定で素晴らしい製品をたくさん作っていたとします。しかし、若さだったり経験だったり意思決定が速すぎたりして慎重さを欠いた結果、対外的に信用を落とす事件を起こしてしまうこともよく聞きます。そのことが原因で、その経営者が慎重になりすぎ、以前ほどのスピード感を保持できなくなるかもしれません。こうなると企業としてのマインドセットは変化してしまいます。

マインドセットを変えるマインドセット教育

マインドセットとは思考パターンや行動様式ですが、端的に表現すれば「考え方のクセ」と言えます。「クセ」となると、なかなか直すのが難しい感じですが、ドゥエック教授によると「簡単ではないが、教育でマインドセットを変えることはできる」と説明しています。

例えば、マインドセットを「成長志向のマインドセット」に変えたい場合、いくつかの決めごとを意識的に実行していく姿勢が大切です。そのために「PDCAサイクル」に当てはめて実行していくのが効果的と言われています。
※PDCAサイクルとは生産管理を行う上での手法です。 Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のサイクルで安定かつ安全に生産を行えます。

PDCAサイクルを使ってマインドセットを変えるのに必要な5つのステップ

  • 目標や望む姿を言語化してみる

    漠然としたイメージをできるだけ明確なビジョンとして言語化し、意識に定着化します。その時にできれば時間軸まで考えてより具体化して言語化します。

  • 記録する

    言語化したビジョンを日々書き記すことで最初の気持ちを意識し続け、自己に定着させる効果があります。これには日記が最適です。その日の行動を振り返り、評価し、改善点を考えるというPDCAを実践します。

  • フィードバックをもらう

    クセは無自覚に行ってしまうものなので、自分では気づかないものです。何か目標を立てたときには周囲にチェックしてもらうように頼んでみるといいようです。考え方のクセが治ってないようであれば、周囲から指摘してもらうようにしましょう。

  • 目標に沿って軌道修正をする

    実践を続けていけば、目標は現実に近づいていき、より高度なものへ目標も成長していきます。しかし、それが高すぎると現実の状況に合わなくなることもあると思います。あまりこだわりを持たずに、現実に合わせて少し軌道修正を行う姿勢が大切です。

マインドセットを変える際の注意点

「年寄は頑固」と言いますが、マインドセットは年月を経るほどに強固なものになるものです。 個人の中で凝り固まってしまったマインドセットを、急激に変えようとするとストレスを感じてしまいます。ある程度の適度なストレスは成長を促すとは思いますが、過度なストレスは自己否定や挫折につながり、逆にコチコチのフィックスト・マインドセットになっていしまう可能性もあるようです。

マインドセットを変える際は、自分の気持ちと相談しながら徐々に実践し、逆効果とならないようにすると良いかと思います。そして、こうした変化は「一生続くものなのだ」と受け入れ、成長を止めない意識付けも必要です。

また、組織のマインドセットを変える場合は、ある程度の時間をかけないと現場が混乱します。組織の人員は、既にそれまでの経営者やリーダーの影響を受けていることを考慮して、現場が混乱しないように慎重に進める必要があります。

成功するためのマインドセットを育む7つの習慣

マインドセットの研修は様々な種類がありますが、よく耳にする内容としては、下記の意識改革について日常的に行うトレーニングです。前項と重複する部分もありますが、結局は個人の意識改革なので当然そうなります。

成功するためのマインドセットを育む7つの習慣

  • 良いと思ったら、やってみよう

    良いとを頭で理解していても、実際に「やる」ところまで行かないものです。良いと思うことを、継続的に実践できる人の中から成功者が生まれるのです。

  • どうしたらできるか?を考えよう

    新しいことをスタートする時や、物事がうまくいかないときにどう考えるかというのは、マインドセットの典型的な事象です。
    「時間がないからあきらめよう」「失敗をしたら迷惑をかけるのでやめておこう」と、ネガティブに考えてやめてしまっては成功できないのは当然です。成功をつかむためには「うまくいくためにどうしたらできるか」「どうしたら前進できるか」と前向きに考えるべきです。

  • 失敗を恐れずに取り組む

    失敗を恐れるあまり、行動を抑制してしまうとうまくいかないものです。失敗を恐れず行動を続けるためには、思考を変えるコツがあります。 それは「成功とはなかなか手に入らないもの」だと認識し、「今うまくいかない結果は、成功の途中経過であり、成功につながるヒントだ」と思うことです。また、他人の評価は気にせず、自分の中でぶれずに行動を起こし続けることで成功につながります。

  • 「すぐにやる」習慣をつける

    「すぐにやる」というのは、どの成功者も口にします。「とっととやる」ことで機会損失を減らし、解決でき得る問題点を早く片付けることができますので、成功までの間にある障壁を一つでも少なくすることができます。考える前に行動を起こすことを嫌う人もいますが、考えてしまうとリスクばかり気になってやめていがちなので、すぐにやる人の方が、結局何もしない人よりも確実に成功に近いと言えます。

  • 学びと成長に貪欲になろう

    近年のビジネスシーンの変化の速さに対応するには、この「常に学びや成長を求める」という姿勢が不可欠です。そして、その姿勢を貫くためにも、楽しみながら試行錯誤を繰り返し学び続けることが大切です。この学び続け、成長を実感しながら積み重ねることが、他の人との「差」となり、成功へ近づくのです。そのためにも、必要な新たな学びのための時間やお金の投資も惜しむべきではありません。

  • 「やる」だけではだめ、「やり抜く」ことが大切

    「継続は力なり」という言葉が示す通り、一度始めたことをやり抜くことができる人はあまり多くなく、そこに成功者との「差」が生じています。④「すぐにやる」というマインドセットと同様に、「やり抜く」というのもセットで身に付けましょう。
    その為には、⑤の成長に貪欲になるということと、③の失敗恐れないというマインドセットが大切です。 また、やり抜くには情熱も大切な要素です。情熱が持てることでなければやり抜くことは難しいでしょう。

  • 自分の人生に責任を持とう

    成功するためには、自分の中に「軸」を作り、責任を持って判断し、行動することが非常に大切です。周りの人の評価や批判的な意見は大切にすべきことですが、あまりにとらわれ過ぎて、二の足を踏んだり、続けられなかったりすると大きなマイナスです。成功をしたいのは自分自身ですし、行動をするのも自分なので、すべての責任は自分に返ってきます。そのうえで、自分を信じて行動することが成功には大切な要素なのです。

(参考)ヒンズー教の教えに見るマインドセット

ヒンズー教の教えにある下記の一文は、まさにマインドセットの大切さを表現していると言えます。

心が変われば、態度が変わる。
態度が変われば、行動が変わる。
行動が変われば、習慣が変わる。
習慣が変われば、人格が変わる。
人格が変われば、運命が変わる。
運命が変われば、人生が変わる。

この「心」を「マインドセット」として言い換えればいいわけです。マインドセットが変われば、思考と感情のパターンが変わり「態度」として現れ、そこから生じる「行動」が変わるのだと。「行動」が変わり続ければそれは「習慣」であり、様々な変化を生み出して、最終的には「人生」が変わっていくのだということですね。

最後に

意識高い感じのするマインドセットという言葉は、人によっては「なんか胡散臭い話」のように感じるかもしれません。しかし、マインドセットを「思考と感情のパターン」と理解し、自力で変えるのだという強い気持ちを持って取り組めば、その努力は最終的に「人生そのもの」を変える可能性もあるのだという事ではないでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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