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コラム

「ソーシャルラーニング」から「アダプティブラーニング」へ

2021.11.02

オンライン学習というのは、物理的に「独学」だったので、素朴な疑問や難易度の壁にぶつかったり、集中力が途絶えしがちでした。このオンライン学習のデメリットを改善すべく、学習者をどうやってエンゲージ(引き込む、注意を引く)させていくかが、近年のEdTech(教育テクノロジー)のテーマの1つです。そして、その方法の1つに「ソーシャルラーニング」という手法があるということは前回ご説明しました。
今回は、「ソーシャルラーニング」がさらに発展した「アダプティブラーニング」についてご説明します。

目次

  • 「フォーマルラーニング」から「インフォーマルラーニング」へ
  • 「ソーシャルラーニング」の現状
  • ソーシャルラーニングをからアダプティブラーニングへ
  • 学習ログをなるべく蓄積する
  • アダプティブラーニングの仕組み
  • アダプティブラーニングの代表的なサービス
  • 最後に
  • 関連記事

「フォーマルラーニング」から「インフォーマルラーニング」へ

ソーシャルラーニングの前に、フォーマルラーニングとインフォーマルラーニングという言葉のおさらいをします。

学校なり、会社の研修なり「先生が固定された場所で授業を行い、生徒がそれを受ける」形の学びを、「フォーマルラーニング(=公式な場所での学び)」と呼んでいます。フォーマルラーニングは強制力の伴うものが多いです。
対して、同僚同士の教え合いや、インターネットでのQAサイトでの質問など、「特定の講師と生徒という関係性なしに、教え合う」形の学びを、「インフォーマルラーニング(=学校では教えてくれない非公式な学び)」と呼びます。インフォーマルラーニングは自主的に行われるものがほとんどです。

そして、インフォーマルラーニングの顕著な形としてあるのが、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを使ったインフォーマルラーニングで、これを「ソーシャルラーニング」と呼んでいます。
フォーマルラーニングは「単位」「学位」「スコア」などで、就職・転職など、社会に評価されてきましたが、「学費」がかかるため、全ての人が受けられるものではありませんでした。
インターネットが普及することで集合知にふれることも簡単になり、「ソーシャルラーニング」を使いこなして、学習していこうという動きが広がったのです。

「ソーシャルラーニング」の現状

TwitterやFacebookなどのSNSや、ブログ、YouTube、Q&Aサイトといったソーシャルメディアを学びのツールとして活用する学習システムの総称を「ソーシャルラーニング」と呼んでいます。教える側と教えられる側の役割を明確化・固定化した一方的フォーマルな教育ではなく、参加者同士がネットワークを通じてインタラクティブに教え合い、学び合うインフォーマルな形態が特徴です。
そして、ソーシャルラーニングをメイン事業として取り組む企業や、ソーシャルラーニングの仕組みを利用した学校も登場しています。

現在もソーシャルラーニングの波は拡大していて、無料の動画配信形式のサービスが次々立ち上がっています。中でも、様々なジャンルの達人が講師を務める「SCHOO(スクー)」や、無料で学べる大学講座「gacco(ガッコー)」といったサービスが注目を集めています。

このように、個人が自分で選んで適した教育を受けられるのが、ソーシャルラーニングの大きな魅力です。そして、このソーシャルラーニングの「ソーシャル」な部分を、個人の学習の最適化に取り入れたのが「アダプティブラーニング」です。

ソーシャルラーニングをからアダプティブラーニングへ

「アダプティブラーニング」を日本語に訳すと「適応学習」と言われます。もっと平たく言うと、「個人に最適化した学習」という意味になります。
古来、学校は「集団一斉・同時進行していく学習」を続けてきました(フォーマルラーニングの典型)。進度はクラス単位で進むので、個人の疑問は放置されることもあり、必ずしも「個人に最適化」していたとは言えません。アダプティブラーニングは、そうした「一斉学習」に反して、「各学習者に応じて適切な内容、適切なスピードで進める学習モデル」のことを指します。つまり、教材を各生徒それぞれのニーズ、特徴、理解度に合わせてカスタマイズして学習できるのです。
アダプティブラーニングのキーワードは「ログ」「最適化」「ソーシャル効果」です。

(1)「ログ」が取れる
ICT(情報通信技術)の進化により、ノートはタブレットに変わりつつあります。そして、そうしたツールを使うことによって、学習進度のログをデータを分析し、得意不得意が視覚化され、解答速度などで幅広くデータを蓄積することで、能力のチェックや学習進度が明確にわかるようになります。

(2)学習方法が「最適化」される
アダプティブラーニングなら学習レベルだけでなく、学習方法についても最適化が可能になります。その秘密はその人に合わせ学習分析の「アルゴリズム」です。

(3)学び合う「ソーシャル効果」
単純な成績の競い合いもできるし、わからない問題に対して相互学習も可能です。独習もOKですが、「学び合う」というの一番のポイントです。

学習ログをなるべく蓄積する

(1)については、eラーニングの強みとデバイスの進化の当然の流れと思います。スマートフォンやタブレットが個人の持ち物となったことにより、学習はパソコンの前に座って行わなくても良くなり、今までノートや紙に書いていて、データとして取り込まれなかった情報も取れるようになりました。②の学習の「最適化」を精密にする為には、いかに「ログ」を貯められるかにかかっています。

アダプティブラーニングの仕組み

(1)で得られた「学習過程で得られる大量のログ(データ)」をベースにして、独自のアルゴリズムと組み合わせながら、個々の生徒に対して適切なコンテンツを提供していく「最適化」を、システムで実現するのがアダプティブラーニングのメインモデルです。これは学習の効率を上げる手段でもあります。
最適化アルゴリズムは、学習を続けていく中で蓄積されたログを分析し、弱点を明確化、常に適切な教材コンテンツを提供していきます。そのためには、知識や思考ののパズルを隙間なく埋められるように、コンテンツも細かく体系化される必要があります。
また、教材コンテンツも、文書ベース、映像ベース、コミュニケーションベースなど様々なタイプから、「これを学ぶには映像が一番」などの選定もしてくれます。
そして、さらに「ソーシャル効果」を利用し、教材だけではわからない部分のフォローや、独習では長続きしない学習を、学び合うことで長続きさせます。
このほかにも、コミュニケーションを円滑化するためにアバターなどのを取り入れたり、競争意識を煽って楽しんで学習させるゲーミフィケーションのエッセンスを取り入れたアバプティブラーニング製品も登場しています。

アダプティブラーニングの代表的なサービス

普及ベースに入っているものは、アメリカ発のサービスが中心ですが、日本のベンダー提供のサービスも徐々に増えています。現状は学校・学生向けサービスが中心ですが、個人的に学習のペースが取りにくい、社会人の教育にもかなり有効だと感じています。下記サービスを企業内教育に取り入れる企業もあるようです。

  • Knewton

    「Continuous Adaptivity(継続的なアダプティヴィティ)」を収集し、個々の学力や理解度と学ぶべき対象をマッピングし、その個人に最適な道筋を示すシステムが導入されています。
    「インプットが変わればプロセスも変わり、アウトプットも当然変わる」。これに対応し、学習進度によって可変していくというのがknewtonです。大量のクオンツ専門家を抱えてアルゴリズムを開発しています。

  • fishtree

    アメリカ発のアダプティブラーニングシステム。
    2015年1月にリクルートが出資したというリリースが流れ、日本でも大きく話題になりました。
    Fishtree Inc.は「同じ教材を全ての生徒に」ではなく「一人ひとりの生徒に合った教材を」というビジョンを掲げています。fishtreeはアメリカや韓国ではすでに多くの学校法人に導入されており、これからの成長が見込まれていますね。また、ソーシャルラーニング機能も強く、生徒間・先生間・生徒と先生間もコミュニケーションを促進してくれます。

  • RICS(Ritsumeikan Intelligent Cyber Space)

    2014年5月より立命館守山が現在進めている日本初のアダプティブラーニングプロジェクトのひとつ。
    蓄積された学習記録・行動履歴をポートフォリオとし中高大一貫教育で共有化する、つまりログを活用するということですね。

  • すらら

    株式会社すららネットによる、小学校高学年から高校生を対象とした「対話型アニメーションe-Learning教材」です。
    「すらら」の優れたところは、アニメーションで動くキャラクターを介して、生徒一人ひとりのドリルの理解度や正答率に応じて、学ぶべき単元や問題の難易度を調整し、その生徒に最適な問題を出題するシステムにあります。

最後に

現在、アダプティブラーニングのシステムは各ベンダーが試行錯誤しながら開発している状況です。既にリリースされたものも、アルゴリズムの完成度の高いものは少なく、改良が続けられています。逆に、ソーシャルラーニングのサービスは今が旬な感じもします。もともとソーシャルラーニングについては、10年以上のベースとなるソーシャルツールのノウハウのもとに作られているので、サービス化までのスパンが比較的早かったような気がします。
対して、アダプティブラーニングは、独自の適応化アルゴリズムが鍵なので、今の所いろいろな手法を試し、効果の高いモノを見つけていく段階に思えます。また、ちょっと前に流行った「ゲーミフィケーション」の要素も、アダプティブラーニングに取り入れられています。また、「MOOC(Massive Open Online Courses)」においてもKnewtonなどアダプティヴラーニング(適応学習)の仕組みを取り入れる動きが広まっています。

効率的で楽しんで学習できるアダプティブラーニングサービス。今は学校や生徒向けのが主流ですが、弊社も含めて、ビジネスシーンでの展開を進めているところも多いのではないかと思います。今後の進化に注目です。

お読みいただきありがとうございました。

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