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eラーニングの歴史のザックリとした理解

今回は肩慣らしにeラーニングの歴史をザックリと振り返ってみたいと思います。



目次



学習形態の変遷

「eラーニング」のベースとなった「CBT(コンピューター・ベースド・トレーニング)」は1980年代にはアメリカの大学を中心に行われていました。この時の教材はCD-ROMで配布する形態が主流でした。そうなると、配布コスト、配布後の内容修正のむずかしさ、学習進捗の一括管理の難しさなど、パッケージメディアならではの課題は多く、一般的な普及というレベルには至りませんでした。 この時代のCBTを「eラーンング」に含めるかどうかは意見が分かれますが、このような「オフライン」から、ネットなどを介した「オンライン」に変遷していくことが大切な認識です。


「eラーニング」として2000年あたりに中心となっていたのは「インターネット」、「パソコン」、そしてこれらの少し前から利用されていた「衛星通信」「ISDNテレビ会議」といったITを活用した教育研修でした。 呼び方も様々で「WBT(ウェブ・ベースド・トレーニング)」や、変わったのだと「サイバー・ラーニング」「バーチャル・ラーニング」なんて少し大げさな呼称を使う人もいました。それまで「遠隔学習」の中心だった「通信教育」と区別して「eラーニング」とまとめてた感があります。


この頃のeラーニング技術はアメリカの大学で研究され、IBM、シスコシステム、オラクルなどのIT企業で導入され、高いコスト削減と研修効果の向上を実現しました。



eラーニングの「3つのメリット」

この当時の「eラーニング」の「ウリ(メリット)」は、下記の通りでした。



1.いつでもどこでも学べる

ネット経由で教材を利用することにより、学習者が学ぶ時間(タイミング)や場所を好きな時間に行えるということです。また、教材の提供スピードも上がり、迅速な研修ができるというのも当時は画期的でした。また、集合研修のように規模の理由で「学習者のレベルをおおざっぱに集める」とこなく、自分に合ったレベルを選べるのも細かな点ですが大切です。



2.研修費用のコストダウン

「リアル」の研修と比較し、ロケーションを選ばないので「交通費」や「宿泊費」など、教育研修にかかる費用をカットできる点です。地域別に複数回講師を呼ばなくて良いというのも研修担当者にとっては助かったのではないでしょうか。



3.音声やアニメーションなどマルチメディアを使った教材による学習効果のアップ

「動画」や「Flashアニメーション」などでのわかり易さが、当時主流だった「書籍教材」と比較して理解度が高いと認識されてました。SCORMという「eラーニング」のための、教材規格も制定され、「学習履歴の管理」という面にも意識が向いてきました。



「人材教育のIT革命」からのリーマンショック

やがてブロードバンドが進み、動画の配信も可能になり、さらにLMSなど、学習進捗管理の機能開発が進んで「効果が見えやすく」なると、企業などで「eラーニング」の地位はグッと上がっていきます。この時の「eラーニング」は「人材教育のIT革命」としてもてはやされ、市場規模は年率70%以上の伸びで推移しました。


しかしながら、企業の「eラーニング」を使った人材育成の投資も増え、ベンチャーが新しい技術開発にしのぎを削っているなか、リーマンショックが起こります。


リーマンショックの影響で企業の教育費は抑えられ、「eラーニング」業界にも冬がやってきました。 投資の減少による売り上げ減少だけでなく、SCORMを使ったLMSシステムが乱立し、SCORM規格外の独自拡張などで足並みも揃っていなかったため、業界自体が軸を失い、数々のベンチャーが撤退していきました。



「eラーニング」業界は第二の発展へ

リーマンショックによる冬の時代にも、インターネットを中心とした技術分野は進歩し続け、その進歩に追従するように「eラーニング」業界でもコツコツと新しいツールは開発され続けます。 この冬の時代に固定回線のブロードバンド化は確立し、次なる課題のモバイル環境でのブロードバンド化も進みました。


やがて冬が明け、企業の教育への投資が徐々に上がり出すと、「eラーニング」業界は第二の発展に向かって動き出します。


第二期では、eラーニングの「教育効果」が焦点になります。「教育効果」を上げるための「仕掛け」の研究が進みます。


キーワードとしては「インストラクショナルデザイン」「SNS」「モバイル・ラーニング」「ブレンデット・ラーニング」「ゲーミフィケーション」「TinCan」などです。 詳細は、各キーワードごとに別の回でご紹介しますが、ザックリと解説するとこのような感じです。


「インストラクショナルデザイン」は 「ID(Instructional Designの略)」と呼ばれ、eラーニングの学習効果を上げるためにシステム工学的手法が導入されます。 「SNS」はツイッターやFacebookなどSNSを使って同じ学習目標を持つ仲間と学習を進め、相互に教え合い、離脱を防ぐという利用方法です。 「モバイル・ラーニング」はスマホやタブレットを使ったモバイルでの学習環境の技術。 「ブレンデット・ラーニング」は対面学習、オンライン学習、両者の良い所を組み合わせることにより、インタラクティブ性の高い複合型授業で学習効率を上げる手法。 「ゲーミフィケーション」は「ゲーム理論」を使った教育手法。 「TinCan」はSCORMに変わる新たなLMSなどの規格です。


第二期は現在もまだ続いており、これからも新しい技術や教育手法は登場してくると思います。



最後に

以上、非常にザックリではありますが、eラーニングの歴史をまとめさせていただきました。 ここで述べなかったことも今後の連載で触れていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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