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コラム

タレント・マネジメントとは

2021.12.17

「タレント・マネジメント・システム」については、企業規模の大きい、特に海外などに支社支店が多いクライアントからよく問い合わせがあります。グローバルな拠点展開をするにあたり、慢性的な人材が不足している状態、いわゆる「人材難」はかなり深刻な問題のようです。
今回はそうした「人材難」を解消する方法として、そして今や大切な経営課題でもある「タレント・マネジメント」について、少しまとめてみたいと思います。

目次

  • タレント・マネジメントとは
  • HRMからTMへ
  • タレント・マネジメントが注目される理由
  • タレント・マネジメントのメリット
  • タレント・マネジメントを支えるシステムの構築
  • タレント・マネジメントをスムーズに進めるには
  • タレント・マネジメントの今後
  • 最後に
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タレント・マネジメントとは

国内では2010年ごろから急激に注目を浴び始めたタレント・マネジメント・システムですが、欧米では1990年代から研究がすすめられ、2000年に入ってからが導入を進める大手企業が出始めました。

当時のアメリカはMcKinsey&Companyの提唱した「War for talent(人材育成競争)」が盛んにおこなわれ、優秀なタレントを如何に発掘して自社に取り込めるかが新たな経営課題となっていました。
その背景には、欧米企業では、優秀な人材ほど、自らのキャリア・アップのため積極的に転職するケースが多く、後継者が育たなくなり、やむを得ず場つなぎ的に外部人材を登用すると言う悪循環がありました。また、大企業ほど短期的な視野で、業績や人材を評価する傾向が依然として強いということもあり、育成がおろそかになり、競争力を急速に落とす企業も現れていました。
こうしたことを反省し、グローバルで中長期的な視点で、人材活用や人材開発の必要性があったのです。

「Talent Management(TM)」を直訳すれば「才能管理」となりますが、意味的には「人財管理」に近く、従業員が持つタレント(英語意「能力・資質・才能」)やスキル、経験値などの情報を可視化し、人事管理データとして戦略的な人事配置や人材開発を行うことをいいます。

「なんだ、そんなことやっているよ」と思われる方も多いかと思いますが、確かに今までも似たようなことをやっていた企業は結構多いようです。ただ、その考え方や手法については部分的であったり体系化されておらず、またシステムとの連携など様々な面で、さらなる進化の段階にきているというのが、今の「タレント・マネジメント」です。

下記は世界最大の人材マネジメント協会SHRMの「タレント・マネジメント」の定義です。

SHRMの「タレント・マネジメント」の定義

人材の採用、選抜、適材適所、リーダーの育成・開発、評価、報酬、後継者養成等の人材マネジメントのプロセス改善を通して、職場の生産性を改善し、必要なスキルを持つ人材の意欲を増進させ、現在と将来のビジネスニーズの違いを見極め、優秀人材の維持、能力開発を統合的、戦略的に進める取り組みやシステムデザインを導入すること。

米国人材開発協会ASTD(ATD)(会員7万人の人材開発のプロ集団)の定義ではこのようになっています。

ASTD(ATD)の「タレント・マネジメント」の定義

仕事の目標達成に必要な人材の採用、人材開発、適材適所を実現し、仕事をスムースに進めるため、職場風土(Culture)、仕事に対する真剣な取り組み(Engagement)、能力開発(Capability)、人材補強/支援部隊の強化(Capacity)の4つの視点から、実現しようとする短期的/長期的、ホリスティックな取り組みである。

双方とも強調するポイントとしては「人材の採用・獲得」「人材の開発」「人材の適材適所配置・選抜」「能力開発(キャリア計画)」などになります。

HRMからTMへ

旧来の伝統的なヒューマン・リソース・マネジメント(HRM)では、経営者や管理者の視点から、仕事・業務中心に、人材の育成と配置が行われてきました。このタイプのHRMでは、偏った視点による判断と、体系化されていない育成方法により、正しい人材活用とさらなる育成には限界が見えていました。

以前のHRMの問題点

  1. 統一した人事評価、管理ができていないことから適切な人材を選定できない。
  2. 能力に合わせた能力開発・育成システムがないので人材が伸びない
  3. 部署単位で管理されているため、全企業グループ内の埋もれた人材を把握できない
  4. 欠員や新規プロジェクトがあっても、適任が分からずビジネスにスピードが出ない

こうした欠点を克服させるために、人材マネジメントの視点を、従来の経営者的発想から、現場中心、職場の人中心の考え方に転換するようになります。
それは、タレント・マネジメントを導入するのであれば、まず「人材に対する考え方」を改める必要があるということです。

  • 人材は単なる歯車の一つではなく会社全体の「財産」であると認識する

  • 会社側は、個々のタレントの活用や育成に対する方針を明確化してあげる必要がある

  • 会社が長期的な視点からタレント育成に取組むことに関心を持ち、社員が行動に移すことができる社内環境を整える

こうした意識改革により「ヒューマン・リソース(人材)」から「ヒューマン・キャピタル(人財)」に考え方は変わり、時代は人財育成重視のマネジメントに切り変わっていきます。 大切なのは、「人財は、配属先の所有物ではなく、会社全体の財産である」という考え方です。

タレント・マネジメントが注目される理由

人材マネジメントにおいて「タレント」とは、「組織のパフォーマンス向上に大きな影響を与える能力を持つ人材」のことを指して言いいます。

弊社クライアントでは、グローバル展開している大手企業での導入が盛んです。これはやはり、企業がグローバル展開を進めると、まず最初に直面する問題として、グローバル展開に必要な多様性のあるタレント不足、「人材難」が避けられないからでしょう。

海外企業との競争でスピードが求められ、結果が出ないうちに見切りをつけ配置転換をするという事態が起き、結果としてパフォーマンス低下につながるというケースも少なくありません。このような経緯から、2010年以降は人材を活用、発掘、育成する「タレント・マネジメント」を本格的に取り組む動きが見られるようになりました。 ではタレントマネジメントのメリットはなんでしょうか?

タレント・マネジメントのメリット

タレント・マネジメントの導入によるメリットとして先ず挙げられるのが、人材の適正配置による効果です。人材の持つタレントを一元化して把握しておくことで、役職に見合った人材を社内から迅速に配置することが可能となります。他にもタレント・マネジメントがもたらすメリットとしては、下記があります。

  • 経営戦略に合わせた人員計画・育成を、グルーブ全体で最適化することができる

  • 限られた人材を最大限に活用できるため、空いたポジションなどに相応しい人材を素早く配置できる

  • 新規部門の設立やプロジェクトチームの結成時など、適性にマッチした人材を素早く選択できることにより、ビジネスがスピーディーになる

  • 中長期視点での社員の育成が行える

  • 自分の適性に合った職務に遂行することで個人のタレントや意欲を伸ばすことが可能となる

  • 配置転換などで見失いがちなキャリア情報を蓄積して、可視化できる

逆にデメリットも考えてみますが、やはり運用の難しさや、データを入力する立場にある上長や管理者、メンターなどの負担増が真っ先に思いつきます。さらに旧式の日本型HRMの企業では、転換だけでも相当な時間とコストがかかります。
この問題はスモールスタートで徐々に組み込んでいくしか解決策はないような気がします。タレント・マネジメントの目標を絞って、最適配置なのか、適正評価なのか、人材育成なのか、プロジェクト編成なのかと、優先順位を決め、出来るところから取り組むのも良いと思います。

タレント・マネジメントを支えるシステムの構築

タレント・マネジメント・システムとは、タレント・マネジメントを効率よく実践するためのツールです。
人材管理だけでなく、分析やそれに基づいた最適な配置、能力開発を支援し、採用、優秀な人材の定着、リーダー育成、メンタルヘルスケアなどにも対応しているのが特徴です。
何よりも現場に眠るタレント情報を一元化し、わかりやすく「人材情報を見える化」することが求められます。
またグローバル展開企業においては、システムの多言語化、つまり英語等の外国語対応も重視されています。
そして、「ビッグデータ」をタレント・マネジメントに活用するシステムも開発されています。

混合されがちなんですが、従来の人事システムとタレントマネジメントシステムは、機能的に異なったものです。

  • 従来の人事システム

    目的:   人事部門の定形業務を支援すること。「管理」の視点に重心。

    ユーザ:  人事部門の担当者

    機能:   既存の社員の所属、職歴、評価、給与

    提供形態: インストール型ソフト、SaaSなど

  • タレント・マネジメント・システム

    目的:   人材資源を経営戦略に活かすこと。「活性化、有効活用」の視点に重心。

    ユーザ:  経営層・所属上長・本人

    機能:   既存の社員の所属、職歴、評価、給与に加え、潜在的な能力や将来的な要員計画の可視化

    提供形態: SaaS、クラウド型が主流

個々人のデータを収集し、日々蓄積することでデータベース化し、全社的に活用できるシステムを整えます。
ここで大切なのは、研修やセミナーへの参加を示す「スキル情報」よりも、実務経験から得る「キャリア情報」を重視すべき点です。タレントは参加したからといって身につくものではなく、逆に参加していなくても実務を通して身についている場合もあるからです。

一旦、タレント・マネジメントの基盤が整い始めたら、次のステップとしてキャリア評価システムを取り入れましょう。評価と個人の希望に沿って、キャリアパスを明示することもタレント・マネジメントの重要な役割の一つです。そのためには、この「評価」と「育成」の重要性を理解したマネジャー、リーダー、もしくはメンターを現場に配置することが必要です。

タレント・マネジメントをスムーズに進めるには

最初に述べた日本企業独自の「日本型人材管理」により、タレント・マネジメントがスムーズに行えない状況にある企業は多いようです。現在でも終身雇用制時代に行われていた「部門固定型雇用」により、自由な人財の配置や育成の障害なり、人材流出を起こしているケースが多々見られます。

繰り返しになりますが、「人財は、配属先の所有物ではなく、会社全体の財産である」という意識に変わることが大切です。一度配属されたら配属先が勝手に使うのではなく、会社が管理し、財産として適切に運用できるようにしなくてはいけません。
本来タレント・マネジメントでは、人材の採用・配置や評価・育成は一元的に行われなければいけません。したがって、タレント・マネジメントを進めるには、まず「日本型人材管理」から脱却する必要があるのです。

そして、「タレント」として何を重視するかの考え方も変える必要があります。
ラーニング・マネジメント・システム(LMS)を導入している企業は多いと思いますが、LMSが蓄積するものは、あくまでも研修や学習で取得した「スキル情報」です。
しかし、「タレント」として重視されるのは「スキル情報」だけではなく、これらのスキルを「実際の業務で如何に活用」してきて、どのような「実績」を積んできたか、更には「どんな方向を目指しているのか」を表す「キャリア情報」が重要なのです。

タレント・マネジメント・システムを正しく機能させるためには、その入力データの評価をする立場の人間が非常に大切です。つまり、マネジャー、リーダー、メンターが、育成の重要性を十分理解していないと、タレント・マネジメントは機能しません。そのための企業風土や育成への考え方など環境整備も同時に行う必要があります。

企業風土や環境整備を進めるには、トップの理解と、現場の理解がどれだけ得られるかが肝になります。いかに組織横断的な相互支援態勢をとれるかにより、タレント・マネジメントの成果は大きく違ってきます。中長期的に労働力が減少していく中、社員のキャリア開発と適材適所をより的確に進めることで、社員のロイヤルティーを高め、社員の能力を発揮させやすくしなければなりません。

タレント・マネジメントの今後

海外の投資家では「タレント・マネジメントに熱心な企業はイノベーションが起こりやすい活力ある企業風土である」と考えられています。つまり、「タレント・マネジメント」に対する投資は「対外的企業価値アップ」への投資でもあるのです。そのため、どういったタレント・マネジメントを行っているかを公開することが、海外では当たり前のように行われています。こうした動きは徐々に日本でも行われており、これを見据えたタレント・マネジメントの検討が行われています。

そして、今話題のキーワード「ビックデータ」です。タレント・マネジメントのデータとして、ビックデータを解析して、今まで見えなかった「人材の価値」を可視化しようという試みがたくさん行われています。 具体的には、「優秀なタレントの行動」などをビックデータから抽出し、それとマッチした人材をピックアップすることができるシステムなどが登場しています。

最後に

最後に「タレント・マネジメント」に非常に密接にかかわる育成手法に「コーチング」と「メンタリング」があります。メンタリング&コーチング活動は、人を中心に、中長期的視野でキャリアと心を支援するタレント・マネジメントには欠かせない要素なのです。特にリーダー育成やメンタルヘルスケアでも、いかに「コーチング」と「メンタリング」を機能させられるかにかかってます。

グローバル展開の鍵になるともいわれている「タレント・マネジメント」ですが、日々いろいろな要素を取り入れつつ発展しており、これからも目が離せない状況が続くと思われます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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