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エンプロイアビリティとは

2021.12.24

エンプロイアビリティとは

転職業界では、「エンプロイアビリティ」という言葉をよく使います。「employability」と英語にすると意味がすぐに通ると思いますが、「雇用する」という意味の「Employ」と「Ability(能力)」の組み合わせで、「雇用され得る能力(就業能力)」といった感じでしょうか。人事人材関連の用語というよりは経済学用語になります。

近年、人材開発の分野で、このエンプリアビリティを高める教育について注目が集まっています。「せっかく人材教育をしても、転職されてはなぁ」と思われる方もいるかと思いますが、企業が従業員のエンプロイアビリティを伸ばすことで労働力の向上が期待できるというメリットが注目されてのことです。

今回はこの「エンプロイアビリティ」について簡単にご説明します。

目次

  • エンプロイアビリティとは
  • 仕事の能力高い人材は2つに大別できる
  • 「エンプロイアビリティの高い人材」を育てるために
  • 最後に

エンプロイアビリティとは

冒頭で少し説明しましたが、「employability」は「雇用され得る能力」という意味で、平たく言えば「転職できるための能力」を示しています。
したがって「エンプロイアビリティが高い」と、当然ですが、転職や再就職の際に有利になります。近年の流動的な労働市場で、「ビジネスパーソンの価値」を表す場面で使われるようになりました。

言葉の起源的には、米国で1980年代以降に登場しました。産業の構造が変化し、生産と労働力の変化のサイクルが早くなり、多くの企業が労働者の長期的雇用を保障できなくなってきました。このため、企業側は長期雇用に代わる発展的な労使関係を構築するために、積極的に「他社でも通用する能力を開発するための機会を提供する」ということを、メリットとしてアピールし、人を集めたのです。

企業側が積極的に、従業員のエンプロイアビリティを向上させる環境や機会を提供するということは、一見優秀な人材の流出を引き起こすように感じられます。しかしながら、近年の産業構造の変化、技術革新のスピードアップ、労働者の就業意識・就業形態の多様化により、エンプロイアビリティを身につけられ、自己の評価を高めてくれる企業に魅力を感じる人は急激に増えています。
結果として、エンプロイアビリティを向上させる環境構築に注力している企業ほど、優秀な人材の流出を防ぐことに成功しています。
こういった企業を、「エンプロイメンタビリティ(Employmentability)の高い企業」といい、「企業の雇用する能力」が高い企業であると評価されます。

日本においても、終身雇用制度の崩壊や近年の雇用環境の変化に伴い、自社教育にエンプロイアビリティを向上させる環境を整え、それにより高いエンプロイメンタビリティを目指す企業が注目されるようになりました。欧米ではだいぶ前から、このエンプロイアビリティという意識は根付いていますが、日本で本格的に意識されるようになったのは2000年以降です。
また国としても、企業の倒産などで浮いてしまった人材を、スムーズに次の職場に格納できるように、政策としてエンプロイアビリティの高い人材を育てて、生産性をあげる舵取りをしています。

仕事の能力高い人材は2つに大別できる

では「エンプロイアビリティが高い人」とはどのような人を指すのでしょうか。
転職に有利な人は、当然「仕事の能力が高い」人と言えます。その「仕事の能力が高い人」と言えば、以下のように大きく2つのタイプに分かれるのではないかと思います。

A:その仕事・職場で高い能力を発揮している人
B:どんな職場でも仕事の能力を発揮できる人

Aのタイプはベテランに多いタイプです。
例えば、勤続年数も長く、その会社のルールや仕事のやり方に熟知していて、信頼され発言力もあり、他の社員より高い仕事力を発揮する人です。ただし、この人が他の職場に行って、同様のパフォーマンスができるかどうかを考えると疑問符が付くかと思います。少なくとも、転職してすぐには無理でしょう。

Bのタイプは「個人的スキルが高くどんな職場でも短期間で同じパフォーマンスを発揮できるような人」を指します。
様々な開発言語を操る超絶プログラマーや、商材にかかわらず、何でも売り切ってくるスーパー営業のような人がこれにあたります。

Bのタイプは、仕事環境に依存しないでも高い個人的スキルを持ち合わせているので、転職して、どんな職場に行っても短期間で同じパフォーマンスを発揮できる可能性が高いはずです。つまり、「エンプロイアビリティの高い人材」とは、AではなくBのタイプの「仕事ができる人」を指しています。

このように、労働者に求められる職業能力として、「企業内で通用する能力」から、「企業を超えて通用する能力」が問われるようになってきたのです。
また、企業内においても、特定の職務への習熟を能力とみるのではなく、激しい仕事環境の変化への適応能力や問題発見・解決能力、さらには創造的能力等が重視する傾向にあります。
こうした企業内外において職業能力のあり方に大きな変化が、労働市場価値を含んだ就業能力「エンプロイアビリティ」の高い人材という新しい概念を生み出したのです。

ちなみに、Aのように現在の組織で周囲から評価されて雇用され続ける能力を「内的エンプロイアビリティ」と言い、Bのように、転職市場で評価の高い、他の企業でも使える能力のことを「外的エンプロイアビリティ」と言います。

日本企業は伝統的に「内的エンプロイアビリティ」に重きを置いてきましたが、全社員を雇用保障できなくなってしまった今の時代は、「外的エンプロイアビリティ」を高めるための支援を積極的に行う姿勢、つまり、企業側が主導してエンプロイアビリティを高めることが求められるようになりました。これを「エンプロイアビリティ保障」と呼びます。

転職先として人気企業は、従来の「長期雇用保障(日本)型人事システム」から「エンプロイアビリティ保障型人事システム」に大きく様変わりしています。

「エンプロイアビリティの高い人材」を育てるために

では「エンプロイアビリティの高い人材」を育てるにはどうしたらよいでしょうか?

厚生労働省発表の「エンプロイアビリティの判断基準等に関する調査研究報告書について」では、エンプロイアビリティの能力の評価は次のように定義されています。

エンプロイアビリティは、労働市場価値を含んだ就業能力、即ち、労働市場における能力評価、能力開発目標の基準となる実践的な就業能力と捉えることができる。
エンプロイアビリティの具体的な内容のうち、労働者個人の基本的能力としては、

A:職務遂行に必要となる特定の知識・技能などの顕在的なもの
B:協調性、積極的等、職務遂行に当たり、各個人が保持している思考特性や行動特性に係るもの
C:動機、人柄、性格、信念、価値観等の潜在的な個人的属性に関するもの

が考えられる。

上記A~Cのうち、「Cについては、個人的かつ潜在的なものであり、これを具体的・客観的に評価することは困難なので、エンプロイアビリティの評価基準として盛り込むことは適切ではなく、A、Bを対象に評価基準をつくることが適当である」と厚生労働省は報告しています。

では、A「職務遂行に必要となる特定の知識・技能などの顕在的なもの」を能力として高めるにはどうしたらよいでしょうか?

Aについてはその職種により詳細は異なりますが、何よりも「仕事の覚え方」を身に着けることが大切です。
どんな知識や技術も、一度身に着けておけば安泰という世の中ではありません。新しい知識・技術を覚えるだけでなく、その拡張や幅広く専門性を広げる努力を日々する必要があります。

能力の高いと言われるプログラマーは、暇な時間があれば最新の情報を収集し、新たな言語などを積極的に試してプログラムを習得しています。そうすることにより、新たなジャンルの仕事を受けたり、難解な案件で最適のソリューションを提案することもできるようになります。人より先に新技術を装備することで、自己の価値をどんどん高めていくことができます。
このように新たな知識・技術を日々吸収するだけでなく、自分の活動エリアを広げていくことが、エンプロイアビリティを高くする秘訣と言えます。

転職先の業種によって必要とされる知識や技能は異なりますし、同じ業種であっても、そこで実際に取り組む仕事ごとに必要となる知識や技能は異なることがあると思います。そのような状況下でも、知識や技術を仕事をしながら素早く身につけられるように、「仕事の覚え方(適用力)」を確立しておくことが大切なのです。

Bの「協調性、積極的等、職務遂行に当たり、各個人が保持している思考特性や行動特性に係るもの」はどうでしょうか?
これは、未知の課題やトラブルに合った場合などの対処能力を指しています。

例えば、転職して未知の課題を扱うことがあった場合、自分で解決する力も必要ですし、新しい環境のメンバーに協力を求めるスキルも必要です。大きなプロジェクトでは、メンバーと積極的に協業し、ゴールを目指して様々な課題を乗り越える力が必要です。ポジションによっては、部下を任されるケースもあるでしょうから、コーチングスキルなども身についておく必要があります。

エンプロイアビリティに必要な能力は、どこで何年働いたかではなく、そこでどのような知識を蓄え、どのような成果を上げる事ができるようになっているかであり、専門能力、コミュニケーション能力、対人関係構築能力など、座学だけでは身につけがたいものを、実際の仕事を通して、スキルとして習得していくことが大切です。
日常の中で、鍛えられる専門性を明確にし、それを職務に落とし込み、コミュニケーション能力を磨いたり、プレゼンテーションスキル、傾聴スキルを身につけ、仕事を円滑に進めていくために、対人関係のスキルに関しても高めていくとよいでしょう。

最後に

エンプロイアビリティを強化するためには、何よりも、常に自分の舵をしっかりとり、目標を意識しながら職務を遂行していくことが大切です。そのために従業員の個人は常に自身のキャリアデザインを念頭に置いた上でのエンプロイアビリティの向上のための努力が求められます。 また、社員が自らの価値を分析し、将来も含めた労働市場に関する予測を行い、専門スキルの獲得や自己志向性の理解とキャリア戦略を駆使してエンプロイアビリティを高めれば、その支援を行うことが業績や組織成長につながります。

このように、企業側にとっても従業員のエンプロイアビリティを伸ばせるような環境を整えてあげることで、自社の労働力の向上が期待できるようになるのです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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