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コラム

モバイルラーニングとは

2022.01.05

近年、『時代は「eラーニング」から「モバイルラーニング」へ』と打ち出している広告を見るようになりました。
「モバイルラーニング」という言葉が出てからかなり経つなぁと思いましたが、今さらながら取り上げてみようかと思います。

目次

  • モバイルラーニングとは
  • モバイルラーニングのメリットとデメリット
  • モバイルラーニングに向いている使い方や事例
  • モバイルラーニングの主流は「マイクロラーニング」
  • 最後に
  • 関連コンテンツ
  • 関連記事

モバイルラーニングとは

「モバイルラーニング(mLearning)」はeラーニングの一種で、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器を活用し、いつでもどこでも学習できるシステムのことを指します。従来の「eラーニング」と区別して、「mラーニング」と表記することもあります。

1990年代の終わり頃から、ITを活用した教育研修全般を意味する「eラーニング」が欧米で取り入れ始めました。その後2000年代に携帯電話ベースのeラーニングが始まりました。これが初期のモバイルラーニングだと思います。日本でもガラパゴス携帯やフォーチャーフォンを使ってeラーニングコンテンツが提供されましたが、端末が貧弱だったせいかあまり普及しなかったように思われます。

その後、iPhoneをはじめとするモバイル端末(iPhone、iPad、Android、その他PSPなども含む携帯端末)の高性能・多機能化と、一般への飛躍的な普及により、モバイルラーニングが急速に普及しました。2016年のGoogleの調査によれば、80%の人がスマートフォンを使用しています。端末の普及率でもPCを抜いてしまいました。一家に一台PCではなく、一人に一台モバイル端末の時代になりました。やはりこの普及率のスピードが追い風になったと思います。

また、モバイル端末の場合、通常のSCORM系コンテンツだけでなく、学習アプリとしての教材化や、内蔵カメラやマイクを使ってスカイプタイプの対面学習手法も普及しました。

モバイルラーニングのメリットとデメリット

eラーニングの最大のメリットは、時間と場所にしばられず、自分のペースで学習できる事だと思います。そんなeラーニングも、導入してみると色々と不便な点がありました。
例えば、「どこでも勉強できる」と言っても、PCベースのeラーニング教材は、場所的にブロードバンド回線がある会社か自宅に縛られてしまうケースが多かったでしょう。

モバイルラーニングは、モバイル端末を利用することで、本当の意味で、時間と場所にしばられず、ちょっとしたすきま時間でも知識習得に有効活用できるようになりました。

ただ、ガラパゴス携帯を使ったモバイルラーニング初期は、下記のようなデメリットが解消できてませんでした。

  • ガラパゴス携帯を使ったモバイルラーニング初期の問題点

    • 画面の表示サイズが小さくて見づらい、液晶が貧弱で色数制限がある
    • 携帯電話のチップの処理速度が遅く、表示に限界がある
    • 携帯回線がブロードバンド化されておらず、映像や音声へのクオリティがどうしても低くなってしまう
    • 携帯に搭載されているメモリが小さく、コンテンツの容量制限がある
    • メーカーによりOSが独自開発されているので、動作保障環境が安定しない

弊社でもいくつかコンテンツは作りましたが、環境的に映像を使えない場合が多く、単純な選択型のテストやアンケートがほとんどでした。

4G環境がスタンダードになった現在は、高度な機能を備えたスマートフォンやタブレットによるオンライン学習がモバイルラーニングの主流となりました。大きく見やすい画面、高い処理速度で、動画や音声をふんだんに使って学習内容を展開することができるようになり、学習環境としてPCを使った場合と、遜色なくなりました。

  • モバイルラーニングのメリット

    • 個人の生活スタイルに合わせ、最適な時間に学習ができる
    • 導入が楽。メールなどで連絡してすぐ学習開始できる
    • 持ち運べるので、どこでも学習したいタイミングで学習ができるので、学習モチベーションの効率が良い
    • 営業や運送など、外出が多い職種の方への学習機会の提供や、マニュアルの配信に向いていてる
    • PCと異なり、起動が早いのですぐ学習に入れる
    • パソコン支給よりもコストがかからない
    • PCを持っていない若い社員や個人PCが支給されないパート・アルバイトスタッフなどの教育も教育が可能

いいことずくめのようですが、モバイル端末独特の問題もあり、デメリットがなくなったわけではありません。

  • モバイルラーニングのデメリット

    • スマートフォンだとまだ画面サイズが小さい場合がある
    • 通信料の支払いなどをどうするか
    • どこでもできる反面、仕事と生活の線引きがしにくくなってしまう
    • 業務時間外の学習をどのように評価するか、学習時間を労働時間とみなすかどうかなど制度的問題が解決されていない
    • 落とした場合など、情報セキュリティ、コンプライアンス面の統制が必要

制作側としては、「個人の端末に頼る」ため、学習環境の仕様決定で困ってしまうケースが多々あります。具体的にはAndroid端末などで、OSのアップデートが難しいために、一部の学習者の環境が相当古くなってしまっていると、コンテンツが再生できない人が出てきて、「全社一斉」などのテストができないなどのトラブルがありました。

モバイルラーニングに向いている使い方や事例

モバイルラーニングは、移動の多い営業担当者の支援やトレーニングに適していると言われ、米国では大手飲料メーカーなどがいちはやく導入しました。営業に強いのは、「必要な時にさっと知識が取り出せる」という利便性もあるかと思います。例えば、商談の直前に好事例の情報共有などの商品情報の閲覧がすぐにでき、それを頭に叩き込んで乗り込むといった使い方もできます(良いか悪いかは別として)。

また、eラーニングや既存の企業内研修を補完する形で、モバイルラーニングの教材を提供する例もあります。社内試験、スキル診断、理解度テスト、派遣スタッフ向け講座、企業理念の理解(CSRなど)、ロールプレイ診断など使い方はたくさんあります。

最近ではスマートフォンやタブレットを持っているがパソコンは持っていないという若者も珍しくありません。ゲームコンテンツ事業大手のバンダイナムコゲームスでは、採用内定者に簿記会計の知識を身につけるよう推奨しています。その内定者教育の手段としてモバイルラーニングを活用し、簿記検定の合格率で全国平均を上回る効果を上げたそうです。

若者こそモバイルラーニング

スマートフォンは若者にとって、なければ友人も作りにくいほどの必須コミュアイテムです。モバイル端末はいま、若者たちにとって最も身近な、なくてはならないツールだといえるでしょう。それを活用したモバイルラーニングは、手軽で親しみやすいため、自然と利用者の学習機会を増やし、学習意欲の向上にも効果があると期待されています。

また、派遣やパート、アルバイトなど、どうしても教育投資がかけにくい従業員にも、スマホを使って低コストで教育できるようになったのは大きいと言えます。あるスーパーでは、新人アルバイトの教育は、共有PCやDVDを使って行っていましたが、現在はメールアドレスに教材のURLとipassを送るだけでよくなり、且つちゃんと試聴しているかをログで取って、催促することもできるようになりました。

モバイルラーニングの主流は「マイクロラーニング」

モバイルラーニングの映像コンテンツには、移動中の短時間で見る事や、バッテリーの再生時間の兼ね合いで、映像の尺が短いものが求められます。

「マイクロラーニング」は小さく区切られたコンテンツを短時間で学習させる教育手法です。学習する内容を絞りこみ、学習時間を5分程度に押さえることで、反復学習をしやすくし、学習内容の定着を図る効果が期待されます。

特に短い映像を使ったマイクロラーニングは、現在のモバイルラーニングの主流となっています。
マイクロラーニングについては、こちらの「マイクロラーニングとは」で説明しています。

スマートフォンを使ったマイクロラーニングは、ネット経由でLMSにつなぐだけではなりません。「アプリ」として提供することも可能です。また、アプリの学習を「ゲーム化」することによって、より気軽に楽しんで学習ができる「ゲーミフィケーション(gamification)」の教育手法も搭載しやすくなりました。学習者はスマホのゲームをやる感覚で、電車の中やリビングで学習をすることができます。ゲーミフィケーションを使って工夫することにより、学習者のモチベーションアップや継続的な学習、すなわち学習の習慣化を実現することができます。

モバイル学習アプリの開発はコストがかかりますが、自社オリジナルを求めなければ、汎用品もだいぶラインナップが揃ってきたので、選びやすくはなったようです。

参考までに、モバイルラーニングの利用分野(学習のカテゴリー)についてご紹介します。

日本eラーニングコンソーシアム(eLC)が調査した「モバイルラーニングで学習する内容」についてのアンケートでは、語学が一番利用者が多く、続いてIT・コンピューター関連、趣味や教養、ビジネススキルという順番になっています。

モバイルラーニングで学習する内容についてのアンケート

順位 学習カテゴリ 割合
1位 語学 31%
2位 IT・コンピューター 19%
3位 趣味・教養 18%
4位 ビジネス(経理・法律・金融・不動産等) 11%
5位 初等中等学校教育科目(数学・国語・理科・社会等) 6%
6位 経理・管理(PM・企画・経営学・ISO取得等) 3%
6位 社会通念(ビジネスマナー・セクハラ防止等) 3%
6位 自社商品知識・社内規定 3%
7位 そのほか 2%
8位 サービス(営業・販売等) 1%
8位 工業関係(機械・電子・建築・測量・土木・自動車整備等) 1%
8位 医療・福祉 1%
8位 労働安全・衛星・環境・品質 1%
8位 その他専門知識(農業・復職・栄養学・理容等) 1%

最後に

また、前出の日本eラーニングコンソーシアムの「モバイルラーニングで学習する内容」についてのアンケートでは、学習者の声として、「学びたい教材がない」「教材がモバイルになっていない」という意見が多いです。教材の制作・供給のスピードがニーズに遅れているのかもしれません。

また、「使ってみたいモバイルラーニングの形態は?」というアンケートでは、「教材を動画で見る」「理解度や記憶をチェックするためにテストを行う」「音楽・音声再生機能を利用して、広義や外国語会話例を聞く」と言った、マルチメディア学習やテストアプリ的な利用法を期待しているのがわかります。安易にPC版のSCORMコンテンツを移植しただけでは、満足してもらえないのかもしれません。

今後高機能化により、スマートフォンはVRやAIなどの新技術の実装デバイスとしてますます利用されると思います。そろそろ「モバイルラーニング」が日常的な学習手法となったことを意識して、教育プログラムを新しいものに変えていくとよろしいかと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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