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  • ホームページをリニューアルいたしました

    日頃より株式会社レビックグローバルのホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。 この度、ホームページを全面的にリニューアルいたしました。 今回のリニューアルでは特に多機能型LMS『SmartSkill Campus(スマートスキルキャンパス)』に焦点をあて、機能一覧、導入支援に関する情報など、これまでになかったページを追加しました。 これまで以上に、お客様に有益な情報をお伝えできるよう努めて参ります。 今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

  • 会員数を倍増する学習⽀援サービス「SmartSkill VideoLibrary」に、新たな学習コンテンツ「SDGs」を追加

    ~SDGsに関する学習コンテンツで「SDGs の組織内浸透」と「持続可能なビジネスを現場実践できるビジネスパーソンの育成」に寄与~ 学習支援サービス「SmartSkill VideoLibrary(スマートスキル ビデオライブラリ)」において、顧客の皆様により充実したサービスを提供するため、2023年4月に新たな学習コンテンツ「SDGsで変わるこれからのビジネス」を追加したことをお知らせいたします。 ■「SmartSkill VideoLibrary」公式HP https://www.revicglobal.com/e-learning-membership

  • マイクロラーニングとは

    ここ1年くらいで急に教育関連の展示会やセミナーなどで目にするようになった「マイクロラーニング」。 名前の通り、「短い(マイクロ)教材を使った学習」という意味ですが、その内容自体はまだあいまいなところがあります。また、注目を浴びたのは最近ですが、概念的には10年位前から言われていた「スキマ時間学習」「スナックラーニング」とほぼ同意とも言えます。 今回はこの「マイクロラーニング」について、その意味と、なぜ今これほど話題になっているかについて、簡単ではありますが、ご説明してみたいと思います。 目次 マイクロラーニングとは何か マイクロラーニングのポイント それにしても、なぜここにきてここまで注目を集めているのか? 最後に 関連コンテンツ マイクロラーニングとは何か マイクロラーニングは、教材の学習想定時間の長さが注目されがちですが、意味的には「学習スタイル」の方がポイントになってます。 よく使われる定義としては、「1~5分程度で終わる動画やWebコンテンツ等の細分化された学習コンテンツで提供し、学習者が好きな時にそれらにアクセスして自学する、教育・学習のスタイル」という言い方をします。 一回の学習は5分程度で完了するため気軽に取り組みやすく、スマホがあれば、寝る前や通勤時間中などのちょっとした時間にも勉強ができます。 米国では「マイクロ」の他にも「Bite-Size Learning」「Sliced Learning」とも呼ばれているようです。日本でも数年前に、「スナックラーニング(Snack Learning)」と紹介されてました。 マイクロラーニングでは、教材を細かな単位で区切ります。大体1~3分程度、内容によっては5分や10分以内の場合もあります。 ポイントとしては、「途中で分割しない」というのがお約束です。つまり、学習者の理解しやすさの面から、続編はなるべく作らず、綺麗に1回でまとめるのが良いとされてます。 ただし、繰り返しますが「短いコンテンツを教材で使う」というのがマイクロラーニングの本質ではありません。 マイクロラーニングが歓迎されている背景には、その「学習スタイル」や「必要とされる人」がポイントとなっています。 マイクロラーニングのポイント マイクロラーニングのポイントとして、以下の5つ挙げてみました。 マイクロラーニングのポイント ポイント① 学習時間を創出することが難しい人に向いている ポイント② 学習を習慣化することが難しい人に向いている ポイント③ 短いほうが記憶に残るので効率が良い ポイント④ 教材を作るのが楽、修正も楽 ポイント⑤ 運用が楽 順を追って説明したいと思います。 ポイント① 学習時間を創出することが難しい人に向いている マイクロラーニングの発想の元となったのは、社会人の学習時間の「なさ」です。しかしながら、日々要求される知識情報は増えていきます。1日1時間きちっと勉強できている人はごく僅かでしょう。 そこで毎日長い学習時間を確保するのは大変ですが、数分で完了する学習であれば、通勤や移動等のちょっとした時間を利用して、毎日手軽に取り組めるのではないかということで考え出されました。 また、学んだことを記憶や行動に定着させるためには復習が欠かせませんが、数分で終わる教材であれば復習にも取り掛かりやすいので、学習内容を定着させやすくなります。 また後述いたしますが、「教材の作りやすさ」もポイントです。分厚いテキストや数十分の尺の動画は、作成も更新も多くのコストがかかりますが、小ボリュームの教材なら、作成も更新も簡単になります。 忙しい人ほど、情報や知識の収集が必要なのに、その時間がないというジレンマに対する解決策として、マイクロラーニング教材が注目を浴びるようになったのです。 ポイント② 学習を習慣化することが難しい人に向いている マイクロラーニングが向いてる人は忙しい人だけではありません。 時間が5分程度と決まってることで、動機付けが容易にできるため、気楽に始めてもらえるという大きなメリットがあります。また、家でデスクの前で学習するより、電車内など学習環境が変わることで集中力が上がるという効果もついてきます。 マイクロラーニングは、長時間の学習が苦手で集中力が続かない人が「学習の習慣化」に取り組む足がかかりとなる手法とも言えます。 ポイント③ 短いほうが記憶に残るので効率が良い 人間はたくさんの情報を一度に詰め込んでもすぐに忘れてしまいます。マイクロラーニングの教材は、短い単位なので記憶の定着が容易だと言われています。 人間の記憶の定着度について有名な研究「エビングハウスの忘却曲線」では、20分後には42%を忘れ、1時間後には56%、1日後には74%を忘れるとあります。 せっかく1時間に10個のことをみっちり勉強しても、次の日に74%も忘れてしまうのです。だったら、短い時間で1つか2つのことをしっかり覚えるほうが効率がいいと考えます。 (参考)「エビングハウスの忘却曲線」 “心理学者のヘルマン・エビングハウスは、人間の脳の「忘れるしくみ」を曲線で表しました。 20分後には 42% を忘却し、58%を保持していた 1時間後には 56% を忘却し、44%を保持していた 1日後には 74% を忘却し、26%を保持していた 1週間後には 77% を忘却し、23%を保持していた 1ヶ月後には 79% を忘却し、21%を保持していた 上記のように、復習をせず、ただ暗記しただけだったら、1ヶ月後には8割を忘れているという結果です。 これは「頭が良い」と言われている人(=記憶が得意な人)であっても勉強が苦手な人であっても大差ありません。 「人間は忘れることで生きていける生き物」です。「嫌なことを忘れる」ことで精神的な健康を保つ仕組みなのかもしれません。” (参考)効果的な記憶術は復習のタイミングから エビングハウスの忘却曲線からわかることとして、「復習するタイミング」があります。 間違いなく復習しないといけないのは、「翌日」ですね。そして、だんだん復習の間隔を長くすることがポイントです。 記憶が定着するのは睡眠時だそうです。睡眠中に脳内で再生・整理される情報は、寝る直前のものが多いので「暗記物は寝る直前にやるとよい」という話はよく聞きます。 効果的な記憶のための復習のタイミング ① 暗記して10分程度後に復習 ② 寝る前に復習 ③ 朝起きて復習 ④ 7日後~10日後の間 ⑤ 4週間後~6週間後の間 このように復習を効率的に行うことで、学習効率が上がります。 復習を効率的に行うには、復習もマイクロラーニングでタイミングよく行えばよいということになります。実際にマイクロラーニング教材では、復習用のコンテンツがセットになった構成のものが多いです。 マイクロラーニングは、記憶効率を上げるための学習方法とも言えます。 ポイント④ 教材を作るのが楽、修正も楽 企業で人材教育に携わる方がほぼ必ずおっしゃることとして、「自社オリジナル教材を作りたい」というのがあります。そのため「楽に教材を作れるツールはないか?」「自社教材を作ってくれる制作会社を紹介して欲しい」などよく相談されます。 そういった担当者の方に私は「では、まずはマイクロラーニング的な教材から始めてみてはどうでしょう?」と勧めます。 マイクロラーニングは短いので、制作作業の負荷も低く、継続して取り組みやすいからです。 教材にもよりますが、ツールのベースはPPTなどを使っても良いですし、映像などでケースドラマなどでわかりやすく、見て実体験できるような作りのものも意外に手軽に作れます。短い動画でストーリーを追う「エピソード型記憶」が最適といわれています。撮影も、細かい修正を気にしないで1発撮りでOKです。 単語や知識を覚えるのにはフラッシュカード形式の教材もあります。 前項で説明したように、学んだことを定着させるには復習が大切なので、復習の教材も同時に作りましょう。 復習コンテンツはクイズ形式で飽きさせない工夫をしても良いです。 短いからと言って単純にならず、アンケートなどで感触をつかみながら工夫すると教材のクオリティが上がっていきます。 習慣的な学習が続けられないユーザーのために、ゲーミフィケーション要素も入れて、学習回数に合わせて何らかのイベントを入れると、学習者も楽しめて継続しやすくなります。 ポイント⑤ 運用が楽 教材だけでなく、配信方法にも気を配る必要があります。 マイクロラーニングの学習スタイルでは、コンテンツに素早くアクセスできなければ意味がないので、社員全員がすぐに使えるプラットフォームを選ぶことが大切です。 現実的には「スマホ」がその有力候補になります。 コンテンツ配信のプラットフォームはLMSでなくても良く、シェアポイントなどのナレッジマネジメントシステムでもよいし、履歴不要であれば「企業内SNS」やメッセンジャーなどでもOKです。 大切なのは、頻繁に更新して、まめに通知・連絡してあげることです。PDCAサイクルを実行し、(結果や状況の変化に応じて)修正しつづけることが大切です。 参考)マイクロラーニングを使った運用例 ① 教材を作る 動画で撮影したものや、PPTに音声を付けたもの 受講者の学習への抵抗が少なく、映像や音声情報が理解を助け、記憶に定着しやすい。3分以内がベスト。 クイズ形式(フラッシュカード、2択・3択など片手で操作できるインターフェイス) 動画形式(5分以内の短い講義動画や、見やすいドラマ形式のケース映像など) ② メールやSNSなど、受講者の目につきやすい方法でアナウンス 通勤途中など場所を選ばず学習できるように配慮する。 ③ 記憶の定着を考えて、複数回の配信も良い あんまりしつこいと嫌がられるので、多くて2回程度、メールリンクからすぐ学習できるように、帰宅後や通勤時間を狙って配信する。 ④ 1週間後、4週間後などに復習教材を配信。 全体の視聴履歴の公開や、ランキングなどで競争意識を盛り上げる。 それにしても、なぜここにきてここまで注目を集めているのか? それにしても、以前からあったマイクロラーニングがここにきてなぜここまで急激な広がりを見せているのでしょうか? あるテレビ番組では、マイクロラーニングが好評だった年代が、デジタルネイティブでPCやスマホに慣れ親しんだミレニアル世代だったことが話題となってました。 もともとこの世代は、動画で育った世代で、読書時間が短く、本などの文字上の主体の教材に対する抵抗が強いと言われてます。また、コミュニケーションスキルを要する集合研修などが苦手な上、OJTによる教育なども定着しにくいと言われてます。マイクロラーニングは、OJTの補完や、知りたいときにすぐ調べられるマニュアル的な使い方が向いていますので、その面でもマイクロラーニングの効果が高いと評価されました。 海外では、IT企業を中心に大手企業からマイクロラーニングの導入が始まったことも注目された理由の一つではないかと思います。 ATD 2017 International Conference & Expoでは、調査対象の企業の38%がマイクロラーニングをすでに活用、42%が将来マイクロラーニング導入を検討しており、すでにIBMや造船会社などの多数の企業で効果が上がっていると報告されています。 マイクロラーニングの例としてよく出ているものとして、Googleの無料eラーニング「Googleデジタルワークショップ」があります。検索の仕組みやソーシャルメディアの活用方法などデジタル マーケティングの基礎を動画でわかりやすく学べます。 Googleデジタル ワークショップを開く(外部リンク) 問題は図説テキストと動画を使って説明されており、動画終了後に各テーマに沿った演習問題を解く仕組みになっています。動画は大体2-3分で、解説者が登場し、飽きずに移動時間などで学習できるようになってます。 さらにポイントとして、目標設定するというのがあります。これは、「ネットショップを始めたい」「ソーシャルメディアを使って広告したい」など目標を設定し、目標に合わせてレッスンを受講することができます。 最後に認定証というご褒美がでるのも嬉しいポイントですね。 最後に 全ての教育をマイクロラーニングに転化することは無理です。やはり、時間をかけてじっくり学ぶ必要があることも多いのですから。私は、学ぶことをすべて1つのフォーマットでやろうとすること自体がナンセンスだと思います。学ぶ内容に合わせて、もっともわかりやすく頭に入る方法を取ることが大切だと考えます。 マイクロラーニングはその方法の1つであり、スマホという新しい勉強道具を使った方法の一つとして有効です。そして、学習は自発的であることが理想であり、今まで学習しなかった人がマイクロラーニング導入により自発的に勉強できるきっかけとなることが何よりも大切な効果だと思ってます。 また、「自社に合ったコンテンツを作る」という体質を作るきっかけになると良いと思ってます。これからの企業内教育は、業務内容に合わせて、様々な表現方法で自社用教材を内製化できる時代です。 最後までお読みいただきありがとうございました。 関連コンテンツ コンテンツライブラリ‐マイクロe-ラーニング‐ 「Smart OJT Library」資料ダウンロードページ

  • メンター制度とは

    少し前にTVで「メンタリング」を使って、人の心を当てるタレントが出ていました。「メンタリング」の使い方としてそれがあっているかどうかはわからないのですが、私の理解としての「メンタリング」は、「指導や助言する」行為ととらえています。企業内教育の分野では、メンター制度は、新入社員や若手のメンバーに対して、先輩をつけて相談事に乗ってあげたり、仕事のサポートをしたりといったような教育プログラムとして組まれています。 今回は、この「メンター制度」について、簡単にまとめてみたいと思います。 目次 メンターとは? メンターとメンティー どんな人がメンターに向いているか、どう育てるか コーチングとメンタリングとの違い 最後に メンターとは? メンターは英語で「Mentor」とつづります。辞書での意味は「(指導者として)導く」とか「指導(助言)する」といった意味になり、名詞として「指導者」の意味もあります。 「Mentor」の語源としては、ギリシャ神話の賢者Mentor(メントール)に、トロイ戦争に出陣するオデッセウス王が息子テレマコスを託した“良き指導者”であったことから来ています。メントールは献身的にテレマコスの良き理解者・支援者として教育し、そのやり方は多くの人から感心され、尊敬と敬意を集めました。そのことから、人を指導・支援するスキルが現代では「メンタリング」と言われるようになりました。 つまり、語源から拾える意味としては、「信頼される指導者が教育する」と言えます。つまり、この後詳しく話す「メンター制度」での鍵が、「人間力を重視した支援型の育成制度」であるということです。 コトバンクの説明では、「メンター制度とは、企業において、新入社員などの精神的なサポートをするために、専任者をもうける制度のことで、日本におけるOJT制度が元になっている。メンターは、キャリア形成をはじめ生活上のさまざまな悩み相談を受けながら、育成にあたる。」とあります。この場合、「精神的なサポート」や「生活上のさまざまな悩み相談」というところがポイントです。 今メンター制度が注目されのは、日本の教育制度の中心として取り入れられている「OJT」が、仕事(技術)中心の内容であったため、社員の精神面の成長や仕事を含めた生活面でのサポートができなかったことに対する反省と言えます。 例えば、社員が仕事の悩みから「うつ」になってしまったり、壁にぶつかっても相談する人がいない、または、中途採用などで新しい現場に孤独を感じて離職するといった問題があります。 こうした仕事に対する基本的な考え方や仕事の進め方について助言したり、仕事場での人間関係の悩みを聞いてあげてることが、社員の成長や組織としての結束力、そして、離職リスクを減らすとして、メンター制度は多くの企業で取り入れられています。 メンターとメンティー 指導をする人を「メンター」、指導される人は「メンティー(Mentee):被支援者」と言います。 メンターは、成功体験を実現するためのお手本をロールモデルとして見せ、目標達成のイメージを明確にし、成功した時の楽しさ、やりがいを「語る」ことで、仕事のやる気を高めます。自分の体験を教えるだけでなく、現状把握を通して、どのように対応するべきかを自分で考える支援をします。コーチとは似てますが、アプローチが違います。 最近では、積極的にメンターを付けて育てたいメンティーの人材として、以下のような人材があげられます。 ①新入社員 ②専門性の高い人材 ③次世代リーダー ④女性リーダー ⑤ダイバシティにかかわる人材 ⑥将来のメンター候補 「①新入社員」にメンターを付けることによって、早期戦力化することができ、新卒の退職のリスクを下げることができます。 「②専門性の高い人材」にもメンター制度は効果的で、専門技術を取得するための勉強方法やプロとしてのロールモデルを見せることにより、自らを専門家としてバリューアップを続けられる人材に成長させます。 「⑤ダイバシティにかかわる人材」は、人間関係の問題の起こりやすいダイバシティ環境での問題を解決するのに、メンター制度が欠かせなくなってきています。 また、会社側はメンティの上長とメンターがコミュニケーションを取れる環境を構築することが大切です。そうすれば、メンティは直接上長に伝えることのできないことを、メンターがうまく伝える緩衝材になりますし、上長もメンティへの成長してもらいたいポイントや評価を間接的に伝えられるので、人間関係がうまく形成でき、業務が円滑に回り出すようになります。 どんな人がメンターに向いているか、どう育てるか 企業内でメンター制度を導入するにあたり、メンターとなる人物には、ある程度の経験が求められます。 特に専門性が高い仕事の場合、メンターが高い専門性を持っていることは有利です。しかし、そうなるとどうしても上長などがメンターを兼任すべきとなってしまいます。組織の規模にもよりますが、上長がメンターを兼任してしまうと、多忙で十分に機能しなくなるケースも多いのです。 また、上長がメンターになってしまうと、メンティが心理的に「評価者」としてとらえてしまうため、簡単に相談できなくなり、制度が機能不全に陥ります。 そのためにも、上長がメンターになるよりも、優秀な若手社員をメンターとして育て、上長は研修などでメンターのモチベーションを上げてあげることに力を入れるほうが良いと言われています。研修で指導・支援スキル学ばせるだけでなく、日々のメンターとしての体験から、その意義を実感として味わう機会を作ってあげることも、上長の役割として大切です。 そして、会社が行える支援として、「メンター」を社内資格などでキャリアとして認定し、査定などで「見える化」してあげることも、モチベーションアップにつながります。 また、メンティの人間的な成長を支えるためには、「信頼」が何よりも大切なのかもしれません。メンティの抱える悩みや問題はあなたにとっては理解しがたいことかもしれません。「信頼」がなければ、相談すらしてもらえないのです。メンティに心を開いてもらうためには、信頼してもらい、本音で話せるようになるしかありません。 信頼を得るためには、相手を理解し、同じ立場に立つことが必要です。同じ立場に立つということは、相手と同じくらい問題を知り、それに対する内容をしっかり掘り下げることです。 かつ、この段階で意見や判断が偏らないように、客観的な姿勢を保つことも大切です。 これらのメンタリングは、タイミングよくアドバイスをしてやることであり、何時でも相談にこれるような場を作ってあげることにより、効果が発揮されます。 コーチングとメンタリングとの違い メンタリングは対象となる人の迷いを取り除き、成長させ一人前にしていくことです。 「コーチング」もニュアンスが似ており、技術的にもメンタリングと被っているところが多いですが、はっきりとした違いがあります。 ①専門性の違い メンターにはその専門分野での経験や能力がより重視されます。 コーチングは、対象となる人との対話の中で、その人の潜在的可能性を見出し、考えさせて、自ら進むべき方向へ導く役割を担います。その中では仕事についての専門性は弱く、成功体験、専門知識、お手本(ロールモデル)を自分が示すことを必ずしも要求されないため、プロセス管理に重点をおく傾向があります。 したがって、コーチングの専門家は様々な職種の人をコーチします。 対してメンターは、対象者となるメンティと似た仕事・立場の人が選ばれます。それは、よりメンティの側に立って相談に乗ることで、信頼と共感を得ることができるからです。同じ仕事をしているので、その仕事特有の問題などにも対応できます。成功体験やお手本を見せることで、メンティの理解も深まります。 ②人間関係のサポートや人間的な成長への支援 メンターは、高い信頼のものにやる気を高め、業務の達成を通して、人間的な成長も支援します。また、社内外で必要な人脈を構築し、それらの人を必要に応じて、引き会わせたりもしてくれます。時にはメンティの家族の問題にも踏み込むかもしれません。コーチにはこのような役割は守備範囲外ですし、専門外なので難しいでしょう。 メンターはまさに賢者Mentorのように、尊敬と信頼を勝ち得る必要があるのです。 最後に もしあなたがメンターに指名されたら、あなたに人間力があると認められているということでもありますので、ぜひ自信を持って後輩に接し、誠意を持って真剣に考えて上げていただければと思います。 最後までお読みいただきありがとうございました。 関連記事 モチベーション3.0とは(Part1) ワークプレイスラーニングとは 内定者フォローとは(その2) コーチングとは

  • ソーシャル・レコグニションとは

    前回は、仲間や同僚などが作用し、お互いの行動、生産性に影響を与え合う「ピア効果」と、それを利用した報酬制度である「ピアボーナス」についてご説明いたしました。 ピア・ボーナスは、従業員同士が互いに仕事の成果や行動を評価し、報酬を贈り合うことができる評価制度で、HRテクノロジーの進歩で、従業員間で報酬を贈り合えるツールが登場し、メディアでもよく取り上げられています。 今回は、ピアボーナスなどピア効果を利用した昇給・昇格に変わるモチベーションアップの手法として「ソーシャル・レコグニション」の考え方に注目してみました。 目次 ソーシャル・レコグニションとは ソーシャル・レコグニションの効果 ソーシャル・レコグニションの事例 最後に ソーシャル・レコグニションとは 英語の「レコグニション(recognition)」の意味は、「承認」とか「認識」と訳されます。 日本の会社にも、もともこの「レコグニション」が人事制度として存在していました。 例えば、月間売上などの業績表彰や勤続に関する表彰などです。これらの精度は、会社が従業員の貢献に対して、給与アップやボーナスなどの金銭報酬(リワード)で評価するだけでなく、表彰制度といった「賞賛・承認」といった「栄誉」をもって報います。中には、より賞賛・承認効果を上げるために社内報や社内ビデオニュースに載せたりするところまあります。ただこれは数字など上から見た会社からの一方的な評価でした。 こうした会社からの一方的な「レコグニション」に対して、「ソーシャル・レコグニション」は、組織においてメンバー同士が互いを承認しあうこと、また、その仕組みのことを指します。 基本的には社員同士が「賞賛・承認」するのがソーシャル・レコグニションで、そこに金銭的なものが含まれるのが前回説明した「ピアボーナス」です。「ピアボーナス」は「ソーシャル・レコグニション」の一例と言うことです。 最近では、社員同士が気軽に褒め合える社内向けのHRツールも登場し、社員のモチベーションアップや人事評価制度を補助する目的で導入する企業が増えています。 ソーシャル・レコグニションの効果 ソーシャル・レコグニションは、従業員同士が感謝や称賛を伝えあう「ピアツーピアの称賛システム」です。そこには「ピア効果」によるエンゲージメントやモチベーションアップの仕組みがあります。 今までは、社員のエンゲージメントの向上には、昇給や昇格が有効と考えられていました。しかし金銭的報酬は、もらった時に一時的な幸福感を生み出しますが、それが永続的なエンゲージメントやモチベーションアップにはつながりません。ソーシャル・レコグニションは、長期的なエンゲージメントや、恒常的なモチベーションアップに効果があると言われています。 例えば、ソーシャル・レコグニションのメリットをまとめるとこんな感じです。 1.従業員エンゲージメントを高める 一般的な離職理由の上位は「人間関係が原因」だったり、「周囲に適正に評価されていないと感じる」という理由です。そうした気持ちをソーシャル・レコグニションという見える形で評価されることで、満たしてあげることができます。 2.優秀な人材を流出させない 「自分が必要とされている」と表立って評価されることによって、帰属意識を想像以上に高める効果があるそうです。結果、優秀な人材を流出させない離職率も下がります。 3.評価の漏れを防ぐ 前回のピアボーナスでも述べましたが、数値や表立ってわからない「縁の下の力持ち」的な働きをする人材を正しく評価し、数値などで計りにくい貢献度を知ることができます。結果今後もポジティブに従事してもらうことができます。くすぶり易い影の存在にも光が当たるので、結果として、会社の雰囲気が良くなるのです。 ソーシャル・レコグニションの事例 世界的にも、ピアツーピアで感謝を伝える「Achievers」や360度評価を活用した「Bonusly」などのサービスが登場し、ソーシャル・レコグニションを職場環境の改善につなげようとする取り組みが増えています。 メルカリのメルチップ賞 フリマアプリとしてシェアNo.1のメルカリでは、レコグニション制度として「メルチップ賞」というリワードを設けました。メルカリは急成長した故に、メンバーの顔と名前が一致しなくなり、コミュニケーションロスから問題が発生するという状態だったそうです。 そこで、「メルチップ(mertip)」と「感謝の言葉」を併せて相手に贈るという仕組みを導入し、ソーシャル・レコグニションを制度として成功させました。メルチップは1ポイント=1円とし、最も多くメルチップを得た従業員にメルチップ賞を授与するそうです。メルチップなしで感謝の気持ちだけを贈ることも可能で、これもコミュニケーションアップに貢献しています。 ベースとなっているシステムは、ピアボーナスの説明時に出てきたFringe81の「Unipos(ユニポス)」です。詳しくはピア効果とは、ピアボーナスとはの回をご覧ください。 Achievers Achieversは P2P (Peer to Peer)方式で、相手に感謝の気持ちや報酬を与えることができるツールです。1対1でのやりとりなので、周りの人に気兼ねせず、自分の気持ちに正直にお礼ができるという特徴があります。つまり集団心理に左右されず、自分の中にある素直な感謝の気持ちを直接相手に伝えることができる賞賛システムなのです。 Achieversは何よりも、「簡単に」「すぐに」お礼が言えることを重視しています。感謝のタイミングが遅れてしまうと、感謝を受ける側の効果が下がってしまうそうです。働き方について研究している会社なので、様々な働きやすさを追求したシステムを開発しています。その中の機能の一部がレコグニション&リワード機能なのです。 Achieversで開く(外部リンク) Bonusly 米国のBonusly社のHRシステムでは、360度評価機能に「ボーナスポイント」という要素を加えることで、組織内のソーシャル・レコグニションを活発化させる狙いがあります。社員同士による360度評価を実施しつつ、特に良いと思う同僚にはボーナスポイントを付与することが認められています。獲得したボーナスポイントは、そのままアマゾンやスターバックス、PayPalなど数多くの選択肢から自由に選んで交換することができるので、エンターテイメント性・ゲーミフィケーションエッセンスも持ち合わせたシステムです。 2012年の設立以来、オラクルなど大手にも採用されて実績を伸ばしています。 Bonuslyで開く(外部リンク) 最後に 360度評価方式は、評価の客観性を高め、コンピテンシー(行動特性)の浸透につながると話題になりました。しかしながら、年に数回の評価時のみに実施されるため、良かったことを忘れてしまうなど、抜け落ちる評価点も多いと思います。 ソーシャル・レコグニションのツールの多くは、「すぐに称賛・感謝できる」ことに重点を置いているところが多いです。即時性もモチベーションアップに大切だと分析されているのです。また、「何が良かったのか」「みんなが自分のどこを認めてくれたのか」は、その場で即時評価されないとなかなかわかりにくいのかもしれません。 ソーシャル・レコグニションの価値は、単に褒め合って気分を良くすることではなく、組織の中で自分の存在が肯定されることにあると思います。上司による評価は、組織内でのその人の業務の必要性を、必ずしも正しく評価する基準で決められているわけではないからです。したがって、組織的には大切な人材なのに、評価基準から漏れている不遇な人は結構います。こうした人が、周りからさりげなく、かつオープンに賞賛され、さらにそれがちゃんと給与にも反映されることによって、公平性や納得感を得ながら働くことができるのは非常に大きな働き方の進化だと思います。 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • OJTとOff JT

    OJTとOff JTについて、簡単ですがまとめたいと思います。 まずよく耳にする「OJT」ですが、ご存じのとおり、こちらは現場で上司や先輩から受ける職務トレーニング教育のことです。 「なんだ、それは普通にやっていることじゃないか」と思うかもしれませんが、OJTはしっかりとしたトレーニングとして考えないと、担当となる上司や先輩によって教え方が違うので、成果にばらつきが出ます。そのため最近では、OJT用のメンター制度や、トレーナー側の研修などもOJTのシステムに組み込んで考えられています。 「Off JT」はあまり耳にしないかもしれませんが、一言でいうならば「職場から離れたところで行われる職務トレーニング教育」のことです。例えば、マネージャーを一か所に集めて行われる集合研修や、内定者にネットを使って教材を学ばせる「内定者向けWBT」などが「Off JT」の代表例です。 「Off JT」については、いろいろありますので別の機会に個別にご紹介し、今回は「OJT」について、効果的に行うためのコツについて、少しお話させていただければと思います。 目次 OJTとは OJTを導入する際のポイント OJTの課題とツール 最後に 関連コンテンツ OJTとは 「OJT」は「On-the-Job Training(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)」の略で、「職場の上司や先輩が、実際の職務遂行を通じて訓練や能力開発を行うこと」と定義されています。 1900年代の日本の企業のほとんどが、社内教育の中心に、OJT形式の教育を据えていました。しかしながら、きちっとシステム化されなかった為、多くの会社ではOJTが機能しなかったようです。 2000年以降になると、OJT以外の教育方法も導入され、OJTの割合は減りましたが、最近になって「OJT」が見直されています。 以前のOJTはいわゆる「現場で覚える」という漠然とした形で、せいぜい教育担当が割り振られ、教わったことをレポートにまとめる、といった程度のざっくりとしたものでした。 本来のOJTは、教育担当者の配置や育成計画を立て、取得すべき能力の目標や期限を定め、定期的に結果を評価し、次の教育計画に反映させていくという「業務PDCA」として実施されるべきものです。しかしながら、OJTを「仕事」として位置づけ、実施するという会社は少なく、そこがOJT教育の誤解されている点でもあります。 教育担当者の配置や育成計画があやふやだと継続的な教育ができず、内容も継ぎ接ぎになります。取得するスキルの目標や期限が決まっていないと、本人の意識が薄れ、段階的な教育ができません。そうなると評価のタイミングに結果がわからないので、評価ができず、本人も会社も成長しているのかどうかがわかりません。問題点も見つからないでしょう。 こうした「間違ったOJT」を見直そうと、最近のOJT教育は、受講者の能力レベルや意欲、態度、性格によって効果的な方法をさまざま試しながら、その人に合った最適な方法で行うというレベルのものまで開発されています。 OJTを導入する際のポイント (1)OJT担当者を決め、目標・ゴールを意識させる 誰が誰を教育するのかという役割を決めないでOJTを始めると、仕事が発生した時に、その場にいた人が目の前の仕事を片付ける為だけに教えるので、時間も取れず、人により教える内容に漏れが生じます。目指すべき目標やゴールもわからないので、教わる側も何となく作業してしまします。つまり、継続性に乏しく、教育効果が期待できません。 OJTの第一歩は担当者を決めてトレーナーとして自覚をさせ、両者が教育の目標・ゴールを意識できるようにすることです。 (2)OJT担当者同士が定期的に集まり、意見交換や情報共有の場を設け、アップデートする 仕事の内容は常に変化にさらされています。トレーニング手法や教材のアップデートが必要です。 そしてそれ以上に、教わる側についての変化や、教える過程でトレーナー側がぶつかった障害などを報告し、それを取り除くための意見交換や情報共有が大切です。そしてその中で育成上の問題点や課題をどんどん見つけていきます。 また、時にはトレーナー向け研修などで、トレーナー達の技術とモチベーションを上げてあげなくてはいけません。 社内SNSなどで、トレーナー同士のつながりを強化する取り組みは、最近のOJTでも重要視されています。 (3)技能やスキルは具体的な達成目標を設定する 技能やスキルについては、具体的な達成目標を明示します。「~ができるようになる」「~業務に対しては任せられる」といった、職務能力を判断する基準を明確にし、本人にもそれを伝えます。どの状態が「できる」と呼べるのかを具体的に表現するのがポイントです。 (4)態度や意識の目標は、具体的な表現で、頻度を観察してレベルづけする 教わる側の意欲や態度といった心理面・行動面の目標は、目指すべき具体的な態度や行動の具体的な事例を説明し、「いつも行っている」「時々できる」など、レベル分けすることで意識させます。 (5)実施期間については細かくステップに分ける 実施期間については、ステップに分け、1~3ヶ月で成果の確認や修正を行いながら進めます。 ステップが長すぎると受ける側の心理としてのんびりしてしまい、あいまいになるため、効率が良くありません。ならば、ステップを細かく分け、頻繁に評価し、自分の成長を確認できるようにした方が効果的です。 教える側も、ステップが細かい方が結果の確認タイミングが多く取れ、指導の修正などが容易ですし、期間がすぐ見えていた方が、仕事としての自分の負担も軽くなります。 (6)OJTは仕事として定義し、就業時間内に行う。 教わる側のプレッシャーもそうですが、教える側の負担も考慮することが大切です。そのため、これは業務であるとはっきり明示し、しっかり教育に取り組めるように、他の仕事の負荷を軽減する取り組みをすべきです。そして、良いトレーナーにはそれなりの評価を目に見える形でしてあげます。 (7)方法や手法を常に見直し、上長が面接などを行って判断していく。 何となく任せてしまっていては、育ちきった時に思ったように育っていないかもしれません。教える側、教わる側の双方を面接し、詳しい記録を残していきます。OJTは人事評価においても考慮すべき点です。 OJTの課題とツール OJT教育が一定期間効果的に行われると、部門のリソースを維持しながら、社員全体のスキルがアップし、役割を変えて配置したり、欠員に応じた対応ができるなど、メリットが大きい反面、教える側の負担も増える傾向にあり、業務や企業規模に応じたOJT計画を立てる必要が課題となっています。 OJTを教育システムとして正しく機能させるためには、いくつかツールがありますが、なくてはならないのが「OJTチェックリスト」でしょう。 チェックリストには、必要な行動が具体的に記されているので、トレーナーはこのチェックリストを使い、自らのOJTを定期的に振り返りることで、OJTの質の向上を図ることができます。同様に教わる側にもチェックシートは必要です。自分のチェックだけでなく、トレーナーについても評価ができるように項目を工夫します。 また、「社内資格」などを整備し、スキルを見える形で規定すると、モチベーションが上がります。その人ができる仕事のスキルを評価して、役割等級を決める役割等級制度が注目を集めています。そのために「役割給用・役割等級判定表」などを作ります。 弊社顧客から一番ご相談いただく内容として、「トレーナースキルのアップ」があります。特に、「技術的なことは十分備えているが、人に教えることが下手である」と評価される先輩社員を、トレーナーとして使えるようにしたいというものです。 これには現実問題として、教わる側のメンタリティが大きく関わっており、トレーナーにとってはそこをどう攻略するかがカギとなります。こうしたトレーナースキルのアップには、コーチングなどのスキルを習得することが非常に効果があります。つまり「教えることのプロ」になるわけです。 弊社映像教材のランキングでも、「コーチング」「OJT指導」のコンテンツは常にトップにある売れ行きです。 今日から使える 実践コーチング 他にも「OJT」関連の教材が多数リリースされています。 SmartOJTプログラム リーダースキルアップ ライブラリー 部下を持った人のためのOJTスキル強化パック OJTスキル強化プログラム トレーナーズ・トレーニング講座 計画的なOJTの進め方 ~職場を強くするOJTの実践テクニック~ 最後に 弊社では、OJT教育を映像教材でサポートするご提案を行っております。映像により、トレーナー自体がわかりやすくトレーニングできるように作られたコンテンツです。 その他にも、OJTのトレーナーの負荷を軽減するために、知識レベルでの理解をeラーニングで代用できるコンテンツなども開発しておりますので、ぜひ相談ください。 最後までお読みいただきありがとうございました。 関連コンテンツ コンテンツライブラリ‐マイクロe-ラーニング‐

  • ワークプレイスラーニングとは

    多くの企業で、従業員のエンゲージメントを高める試みとして、「ワークプレイスラーニング」の整備が行われているようです。 仕事のやりがいや給料を満たすだけでなく、従業員の仕事上のスキルアップを積極的に会社が支援することによって、モチベーションが上がり、高い生産性を上げ、人も会社もハッピーになると認知が進んだという感じでしょうか。ワークプレイスラーニングは、従業員のエンゲージメントを高める手段としても重要な意味を持つようになりました。 今回はこの「ワークプレイスラーニング」について簡単ではありますが、説明させていただきます。 目次 ワークプレイスラーニングとは ワークプレイスラーニングの歴史 課題 具体的な方法 最後に 関連コンテンツ ワークプレイスラーニングとは ワークプレイスラーニングとは、直訳すると「職場での学習」ですが、少し意味を足して「働く現場における学習」と呼ばれます。 簡単に言えば、「学習」と「実務」を連携させるタイプの企業内教育スタイルです。個人のスキル向上と組織パフォーマンスの改善を目的とした学習の仕組みを作り、日々の実務のプロセスに組み込むことによって高い学習効果を実現、人材の能力開発に有効な手段として注目されています。 「人間の能力開発の70%は、インフォーマルラーニングによって説明がつく」と言われています。これは座学による研修やeラーニングといった、いわゆるフォーマルラーニングによる学びは30%、残りの大部分70%は実際の仕事(現場の経験:インフォーマルラーニング)から学んでいるという意味です。ワークプレイスラーニングは、この70%の「現場の学び」に注目した概念です。これまで「現場の学び」は、現場の人間まかせにされ、多くの場合は、「放置OJTプレイ」などと呼ばれる実態のようです。 この正常に機能していない「現場の学び」にも会社が積極的に支援しようとする考え方がワークプレイスラーニング施策です。 ワークプレイスラーニングの歴史 社会人が仕事をするには、専門的知識や仕事に関連する情報、状況判断や知恵などを活かしながら行わなくてはいけません。そして現代は高度な情報化社会なので、必要な情報量も莫大になり、かつ変化も激しくなりました。現場では、こうした様々な知識や、問題の解決策を導き出す力が求められます。しかし、そのような能力を上げるには座学研修やセミナーだけでは限界があり、現場の実経験なくしてこれらを身に着けることはできないでしょう。つまり人材の能力向上を促進するには、「学習」と「実務」を連携させた仕組みづくりが必要となります。 2000年位から、アメリカの先進企業では、「実務」と「学習」を連携させた新しい学習環境「ワークプレイスラーニング」の試験的導入がはじまりました。2007年にアメリカのラーニング・デザインの専門家であるマークJ.ローゼンバーグが著書”Beyond e-Learning”を発表したことにより、ワークプレイスラーニングのコンセプトが広く認知されました。この本の中でローゼンバーグは、集合研修やOJTはもちろん、学習支援となるツールや職場、コミュニケーションまで、ワークプレイス全体の学習環境を連動させて、効果的に設計することを提唱しています。 “ユニパート社の事例” 「企業内での学習環境の整備」は実は、欧米の先進企業では既に90年代から整備されてきました。有名な事例としては、イギリスの物流・ロジスティック企業ユニパート社では、各事業所の中に学習室があり、仕事に必要な能力開発ツールや eラーニングコンテンツが24時間いつでも使えるようになっていました。 さらに驚くべきは、全事業所からオンラインで集められる問題解決事例のデータベースがあり、現場で問題が見つかるとグループで集まって情報を調べ、ヒントを得るとすぐまた現場へ、という具合に従業員が日常的に現場と学習室を行ったり来たりして仕事を勧められていたことです。こうして解決した事例や新たに発見された問題は一定のフォーマットで即時に登録され、新しい学習リソースとなります。 このノウハウ・ナレッジをもとに、ユニパート社はネット通販会社の物流を支援する会社や学習システム構築を支援する会社を立ち上げ、新たなビジネスへと展開させてることに成功しました。 課題 これまでは、「現場の学び」と言えば、「OJT(オンザジョブトレーニング)」でしたが、現実は、OJTという名のついた「放置OJTプレイ」になっているケースが多いと言えます。職場の上司や先輩が、部下や後輩に具体的な仕事を与えて、意図的・計画的・継続的に指導し育成していく活動が本来のOJTですが、実態は見よう見まねで仕事をさせ、指導する立場の上司や先輩自身は教育意識が低く、無計画で一時的な対応になっているケースが多いのではないでしょうか。 一方、職場を離れて教育研修やワークショップ、セミナーなどを受講するOff-JT( オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)は、。職場ではなかなか感じ得ない、きっかけづくりとしてや、気づきを得るという意味でとても重要な学習機会ですが、実際の仕事の現場に戻ると現実とのギャップに苦しみ、活かしきれないという声もあります。 具体的な方法 例えば、コーチングやメンタリング(メンター制)を取り入れたやり方でOJTを実施するなどです。また、OJTだけではなく、eラーニングコンテンツを使ってICT環境で知識を学ぶことも、導入していなければすべきかと思います。 最近よくある事例では従来のeラーニングに加え、社員同士がネットワークで情報交換をするSNSや、社員が業務で得た個別の知識やノウハウを一元で管理・共有できるナレッジマネジメントシステムを構築し、必要に応じ実務情報を検索して入手できるよう情報共有機能に力を入れているケースが多いです。 これらを導入することで、現場での学習効果も高められますし、問題解決の手段が増えたり、新商品の開発や新たな事業展開などの成果にもつなげることができます。 ワークプレイスラーニング環境構築の具体例 OJTは、ガイドラインを整え、コーチングやメンター制、ブラザー・シスター制度などを取り入れて支援を受けられる状態で実施する。 指導するマネージャーや職員のコミュニケーション能力の向上などの支援(コーチング研修、コミュニケーションスキルアップ研修) 従業員自身が日々の業務の中で学んだことを積極的にコミュニティ上で同僚に教えることができる社内SNSを用意 社員が業務で得た個別の知識やノウハウを一元で管理・共有できるナレッジマネジメントシステムの構築 e-ラーニング教材等や各種情報データベースへ容易にアクセスできる環境の整備(マニュアル、ジョブエイド) 上司や同僚からフィードバックもらえ、貢献したものを評価できるシステム 希望や適性や成果などに応じて柔軟に対応できる配置転換ルールの整備 これらのワークプレイスラーニングを促進する制度を取り入れる上で大切なのは、社員が自発的に学べる環境を整備してあげることす。社員が自ら課題を設定して、学習の機会をさまざまなツールから選択できる、その仕組みを組織のなかでどのように定着させていけるかが成功のカギと言えます。 最後に 企業のワークプレイスラーニング導入の狙いは、個人や組織のパフォーマンス改善であり、結果として業績に結びつく知的生産性向上が求められます。そして、仕事の経験値の少ない人だけでなく、その職場で働くすべての人を対象に、「業務改善プロセス」と「学習プロセス」を現場で同時に起こすことが期待されるのです。 こうして業務のクオリティが上がっていくことは言うまでもなく、所属している組織内で成長を実感できることや周囲との人間関係づくりをできることで社員の「エンゲージメント」も向上します。 程度の差はあれ、人は誰でも「成長したい」という願望があると思います。成長し、認められ、自分の価値を上げたいと思ったときに、自分の置かれている環境を考察し、会社が自分の価値を上げてくれると思えれば、仕事に熱も入るのではないでしょうか。こうした取り組みに熱心な職場環境は、人材が流動的になった近年でも魅力があり、良い人材が集まり、長く従事してもらうことができています。 会社での人員の定着率が思わしくないときに、給与などの待遇面の改善だけでなく、ワークプレイスラーニングの整備にも目を向けてもらいたいと思います。 最後までお読みいただきありがとうございました。 関連コンテンツ コンテンツライブラリ マイクロe-ラーニング

  • ダイバシティ・マネジメントとは

    前回は「ダイバシティ」の意味をご説明しました。ダイバシティの歴史や企業に取り込むとどうなるか、メリットや課題などをご説明いたしました。 今回は少し具体的な話として、具体的な運用や推進するための施策としての「ダイバシティマネジメント」についてご説明させていただきます。 目次 ダイバシティの本質は「視点の多様性」 誰にでも潜在的にある「無意識の偏見」 ダイバーシティ・マネジメントとは ダイバーシティ・マネジメントの流れ ダイバシティ推進施策 「ダイバーシティ講演」 ダイバシティ推進施策 「ダイバーシティ研修」 ダイバーシティ導入の成功事例 最後に 関連コンテンツ ダイバシティの本質は「視点の多様性」 前回のおさらいですが、(特に日本で)ダイバシティが誤解されている点として、必ずしも「ダイバーシティ=女性活用ではない」ということがありました。 表面的に見ると、性別・国籍などの単なる人材の多様化と理解されている場合が多いのですが、本来は「市場の要求の多様化に応じて、企業側も人種、性別、年齢、信仰などにこだわらずに多様な人材を生かし、最大限の能力を発揮させようという考え方」です。 つまり、「ダイバーシティの本質」は、性別・人種の多様性ではなく、その人達の持つ「視点の多様性」なのです。いろんな視点をもった様々な属性の人を集めて、彼らの物事の捉え方や分析・評価を「視点」としてビジネスに活かしていくことです。さらに、その多様な視点が活かされる組織づくりをしていくことが経営者の役目であり、それができる企業が、ダイバシティな組織として、社会からも認められ、支持を得て成長するのです。 では「多様な視点が活かされる組織」とは、どういう組織なのでしょうか? それは性別・人種だけでなく、様々な背景、出身、年齢などの多様な人が採用され、それらの人たちが自分の考えを提案したり議論できる場や研修機会などがあり、正当な人事評価がされ、社内でのキャリアの道も開かれ、平等に裁量や出世機会が与えられるような組織です。 そのような組織にするためには、単純に女性やトランスジェンダー、外国人などを雇うだけではだめでした。異質ゆえの表現差や考え方の違いなどから、軋轢・摩擦・対立・誤解が発生し、それがチームワーク・パフォーマンスの低下や大きなトラブルに発展する危険をはらんでいるからです。 ダイバシティ推進の施策について話す前に、このトラブルを引き起こす摩擦や誤解のもととなる「偏見」について、もう一度考えてみたいと思います。 誰にでも潜在的にある「無意識の偏見」 ダイバシティ推進の課題として、表立って目には見えないが、実は大きな問題として「無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)」があります。 社会人としてしっかり生活できている人は、「自分は偏見(バイアス)など持たず、良識的で、客観的に行動できている」と信じているかと思います。しかしながら、実験研究や調査結果により、誰でも人間はみなバイアスを持って人と接してることが明らかになっています。 ではその「偏見(バイアス)」とは一体何なのでしょうか? 辞書的には「偏った見解。中正でない意見。客観的な根拠なしに人や集団を判断すること」とあります。 「無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)」とは、「自分自身が気づかずに持っている偏った見方・考え方」と言う意味になります。 この「無意識の偏見」は、さまざまな望ましくない影響を組織にもたらし、ダイバーシティ推進の阻害要因となると言われています。 それは、人が「偏見」により、瞬間的に事実やデータに基づかずに、人や集団を判断してしまうからです。この際に十分な根拠なしに行っているため、正しくないことが多々あり、「偏見」はさまざまな場面での意思決定にゆがみを与え、まちがった判断に導いてしまうのです。 例えば、「若い社員は根性がない」「女性は気が弱いので管理職に向いていない」「年配の社員はパソコンが苦手である」「アメリカ人は仕事より家庭が大切」といった感じです。 こうした偏見は、些細な言動という形で表れ、職場の人間関係やパフォーマンスを悪化させます。また、こうした偏見が、採用、評価や昇進などに影響を及ぼし、女性や少数派の管理職率の低さという結果の原因になっていると指摘されています。 このように無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)は、組織と個人へネガティブな影響を与えます。残念ながら無意識の偏見を完全になくすことはできません。しかし、あきらめずにダイバシティを推進する中で、自分自身の持つ無意識の偏見に気づかせることが大切です。そして、無意識の偏見について認識し、正しい知識を身につけることで、意識して適切な行動を取ることができるようになるはずです。 「無意識の偏見」は課題の一例ですが、ダイバーシティをうまく機能させるためには、さまざまな努力が必要です。そのためには、後程説明する施策や「ダイバシティ・マネジメント」で、アンコンシャス・バイアス研修やトレーニングを取り入れ、社員の意識を高めていく必要があります。 ダイバーシティ・マネジメントとは ダイバーシティを効果的に進めることができた企業は、多様な社員の違いを戦略的に活かすことで企業の競争力強化につなげています。 マネジメントにより、「多様な社員の違いを受け入れ、戦略的に活かすことで企業やチームの生産性やパフォーマンスの向上を図る」ことが、「ダイバーシティ・マネジメント」です。 「ダイバーシティ・マネジメント」にはいろいろな定義があります。 wikiでは「個人や集団間に存在するさまざまな違い、すなわち「多様性」を競争優位の源泉として生かすために文化や制度、プログラムプラクティスなどの組織全体を変革しようとするマネジメントアプローチのことである。」とあります。 またハーバードビジネスレビューでは、「誰も有利または不利にせず、全従業員が生産性高く働くことができる環境を築き上げる統合的なマネジメントプロセス」と定義しています。 一般的には、「多様性を促進し、最大限活用することにより、企業パフォーマンスを向上させる環境を創る組織的プロセス」と言われます。 ダイバーシティ・マネジメントは、プログラムではなく、プロセスと言われるのは、あらかじめ決められた手続きや数値目標ではなく、実際の取り組みのプロセスで問題点や解決策が見つけ出されるといった、長期的な観点が重視されているからです。 ダイバーシティ・マネジメントの流れ では自社のダイバシティ化を目指して、ダイバーシティ・マネジメントを始めるには、どういった流れで行えばいいのでしょうか? ここでは、従業員のほとんどが日本人である企業をイメージして見てください。 ① 組織のトップが多様性向上を目標として宣言する 企業文化はトップが「今日から変える」と言ったからと言って、すぐ変わるものではありません。しかし、長い道程であるがために、トップが最初にゴールを示してあげる必要があります。また同時に、何故これがゴールであるかも示す必要があります。「これからのグローバルな競争で勝者になるためには従来のやり方だけでは不十分なので、戦略の多様性を高めることを目標に、5年かけて社内の多様性を高める」などと全社員に向けてビジョンを宣言してもらうことが必要です。 宣言のポイントとしては、具体的な数字を盛り込むことも大切です。 例えば「2025年までに、10か国以上の海外拠点の国籍の社員を本社の5%にする」と言った感じです。すると社員は目標に向けて期日までに、「各々が何をしなければならないのか」をイメージしやすくなります。 ② 評価制度に「多様性向上への貢献」を組み込む 会社のビジョンに社員が賛同し、いくら多様性向上に取り組んでも、それが昇給などの形で評価されないことだとしたら、次第にモチベーションは下がってしまうかもしれません。それを防ぐ意味でも、「多様性向上に注力した社員を評価する」ことは必要です。特に管理職の評価制度に「多様性向上」を組み込むと効果的です。 多様性を高めた上で好成績を収めたチームを社内報で大きく取り上げるなども良い取組みです。 このように社員の動機付けをし、多様性向上に自発的に取り組むよう差し向けることが重要です。 気を付けるのは、多様性向上に貢献しなくても給料は下がらないが、貢献すると給料が上がる、というインセンティブのような位置付けにするなどにしないと、社内で反発が生じるケースもあります。単に評価項目として加えて、結果、給料が下げられてしまうと、そのマイナスの感情がメンバー間の軋轢に転じる恐れがあるからです。新しい概念を評価制度に組み込む際には、細心の注意が必要です。 ③ 研修など多属性のディスカッションを訓練として定期的に行う ダイバーシティが目標として決まれば、次は「多様性を受け入れる訓練」を行います。 しかしながら、実際に「多様性ある人材を受け入れる」には時間もかかりますし、何より人材が入って来ていきなり衝突しないように、既存のメンバーの意識を多様化に対応させておく必要があります。 例えば、今の段階で人種や男女比率が「多様性でない」組織の場合は、多様化する前の準備として「部署や階級を越えたグループ」で実施することにより、実際の多様性に近い訓練になります。 具体的には、営業・開発・マーケティング・人事など機能の違う各部署が、管理者と社員を同じ部屋に集めます。そして、「自社の強み・弱みとは?」「自分の立場から見た自社の課題とは」「顧客から見た自社のイメージとは」「今後の自社の方向性は」などを議論させます。 おそらく各部署、立場が違えば、出てくる意見も異なると思います。そうすることで、一方が見えていないことを相手は見えているということを認知させるのです。つまり、一方の立場からだけでは知り得ない情報を共有することができる「場」を用意してあげるのです。 このようなディスカッションを毎回違う構成員で定期的に行うことで、違う考えを持つ人同士の関わり方に組織全体が慣れていく訓練になります。 こうした訓練を「多属性ディスカッション」と呼んでいます。 “(参考)多属性ディスカッションはどの企業でも役に立つ” 現状の「社内に眠る多様性」を利用して、組織のダイバーシティ訓練を可能にするのが、「多属性ディスカッション」です。部署や階級が違えば、考え方は大きく異なります。 例えば、経営層や管理職は数字を通して「大局」からものごとを考える一方、末端の社員や現場の責任者は、顧客や実務を通して「個」からものごとを考えるのではないかと思います。もちろん双方正しいのですが、逆の立場から考えることは極めて難しいため、下は「上はわかってない」、上は「現場はなにをやっているんだ」といった不満が生じます。こうした社内に眠る多様性から生じる問題があるということは、部署や階級間でのダイバーシティマネジメントがうまくできていない状態と言えると思います。これを「多属性ディスカッション」で解決していくのです。 ④ チェンジエージェントを見つけて活用する 「チェンジエージェント」とは「変化の触媒となる人材」のことを指します。自社内で「チェンジエージェント」を見つけ、ディスカッションのファシリテーションをさせると効果的です。 チェンジエージェントは誰でもできるわけではなく、向いているタイプがあります。 具体的には「複数の部署での勤務経験を持っている」「敵や味方を基準にものごとを考えず、目標を基準にものごとを考える」「合理的で意欲的」なタイプです。チェンジエージェントが部署や階級の橋渡しをすることで、建設的な、質の高いディスカッションができるようになります。 ①②を社員に周知することにより、社員の目標となり、動機が生まれます。 ③④は多様性を受容し、活用するための訓練です。 ダイバーシティマネジメントは一朝一夕では成りません。長い年月をかけて行って、はじめて成果が表れるのでハードルが高いのです。それでも世界のトップ企業がこれに取り組むのには、それだけの価値があるからです。 ダイバシティ推進施策 「ダイバーシティ講演」 ダイバーシティの推進には、多様性を尊重する職場環境を促進してチームワークを高め、全社員が平等に組織に参画できるようにする必要があります。「ダイバーシティ講演」は、ダイバーシティの基本的知識をはじめ、ダイバーシティ推進に必要な意識と行動変革に関わる内容を講演するものです。 講演の内容としては、以下のような内容が話されます。 ダイバーシティ講演の内容 労働人口構成や社会環境の変化とその影響を学びダイバシティの必要性を知る ダイバーシティの基本的知識を学び、組織の多様性とは何かを理解する ダイバーシティのメリットと課題を理解する 自らの偏見を知り、「無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)」に気づく 「ダイバーシティ」と「パフォーマンス」の関係を理解する 事例を通してダイバシティの認識を深める ダイバシティ推進施策 「ダイバーシティ研修」 ダイバーシティの研修例には、基礎的な内容を学び、偏見を取り去り、チームワークを高めるための「ダイバーシティ研修 (管理職・一般社員向け研修)」と、ダイバシティ環境をマネジメントし、スムーズな活動を維持する「ダイバーシティ・マネジメント研修 (管理職向け研修)」があります。 一般社員向けの「ダイバーシティ研修」では、ダイバーシティの基本と本質を理解し、多様な人たちと効果的に協働し、チームワークと生産性を向上させていくための知識、意識とハウツーを学び、組織と個人の成長へつなげます。 具体的には、ダイバーシティの基本と本質の説明、チームワークと生産性を向上させていくための知識を身に着け、具体的な演習やディスカッションを組み入れ、参加者同士の意見交換と経験の共有化を促進し、お互いに刺激しあいながら学んでいきます。意識と行動変革の両面から、ダイバーシティを「体得」するのが目的です。 「ダイバーシティ・マネジメント研修」は、主に職場環境のマネジメントを司る管理職に向けの研修です。 異なる属性、背景や価値観を持つ部下を上手にまとめ、チームの目標達成に導くダイバーシティ・マネージメントの意識、知識とスキルを学び、職場での実践へつなげます。 講義等で「ダイバーシティ」と「パフォーマンス」の関係を理解させ、従来のマネジメントとダイバーシティ・マネジメントの違いを認識することから始めます。ダイバーシティ・マネジメントの具体的な知識とスキルを学びます。 例えば、メンバーが持っている「無意識の偏見」への対応を考えたり、マネジメント実践へ向けての行動計画を作成するといったことも行います。 演習やディスカッションを組み入れ、参加者同士の意見交換と経験の共有化を促進し、お互いに刺激しあいながら学びます。 ダイバーシティ導入の成功事例 それではここで、国内のダイバーシティ導入の成功事例を、概要ですが、いくつかご紹介してみたいと思います。 ベネッセホールディングス ベネッセと言えば、「教育・子育て」などの生活者の視点が重要なサービスを展開しており、女性の活躍推進には四半世紀以上の歴史を持つダイバシティ企業です。従業員の55.4%が女性であり、管理職も32.1%を女性が占めています。女性のライフキャリアの研修や、ワーキングマザー向けの他社社員との座談会など女性のワークスタイルを支援する取組みも先進的に行われてきました。 さらに「多様な人材を受け入れられる風土、障がい者雇用もあたりまえになっている状態」を目指し、障がい者雇用率も2.11%となっています。国内だけでなく、グローバルな人材を東アジア中心に、70以上の国と地域で人材を採用しています。 日本GE株式会社 日本GE株式会社はトーマス・エジソンが創業した米ゼネラル・エレクトリック(GE)の日本法人で、家電から不動産ファイナンスまで幅広い分野でビジネスを行う企業です。 ダイバーシティ経営のための取組みとして、「人材育成と研修制度の充実」を推進し、その結果女性のキャリア育成が促進され2014年での女性管理職は27%となりました。経済産業大臣表彰「平成26年度ダイバーシティ経営企業100選」にも選出されています。 他にも「GLBTA(ゲイ・レズビアン・バイセクシュアル・トランスジェンダー・アンド・アライズ)」などの活動も盛んに行われています。 日産自動車株式会社 日産自動車では、研修やメンター制度などの活動を推進するダイバーシティ専門の部署を設置しています、「ジェンダー・ダイバーシティ」に力を入れており、女性幹部職は6.8%(2014年)であるのを、2017年までに女性幹部職を10%にする事を目標に掲げています。 その結果、女性に非常に人気のある人気車種「ノート」の開発をはじめ、女性の登用で多くの利益を生み出しました。 また多様性のある客層に対応ができる優秀な従業員の維持に成功しており、世界約170カ国で展開する日産自動車にとっては事業運営の要とも言えます。 日本IBM株式会社 IBMはアメリカで「機会均等法」が制定される以前に、初めて黒人女性を雇用した企業です。それだけに、ダイバーシティへの着目が世界的に早く、1998年に「女性活躍推進プロジェクト」をスタートさせています。 世界的にも早い段階からダイバーシティ・マネジメントに取り組んできたIBMは、「人種・肌の色や宗教に関わらず平等な条件で雇用する」と機会均等ポリシーを発表してから既に50年以上が経過しています。 現在では、「女性の能力活用」だけでなく、「管理者層の多様性の促進」「文化的相違の受容と認知」「障がいのある人々およびLGBTの能力の最大化」「ワークライフバランス」など、さまざまなダイバシティ・マネジメントを行ってきた企業です。 サントリーグループ サントリーグループは特に「障碍者雇用」の面で先進的に取り組んでいる企業です。障がい者手帳を持つ従業員に特別休暇を与える「ハンディキャップ休暇」など働きやすさを追求した様々な制度を導入しています。 2011年にダイバーシティ推進室を設置し、2015年より全従業員に向けた「サントリーグループ・ダイバーシティ通信”いろどり”」を発刊ました。このダイバーシティ通信「いろどり」は、経営トップメッセージや現場事例の紹介、また実際に障がいを持ちながら働く社員などを紹介し、ダイバシティの取り組みを啓蒙するためのツールとして活用されています。他にも「障がい」「LGBT」など様々なテーマのセミナーを実施しており、後にDVD化されたものは延べ3,300名に視聴されています。 最後に 「ダイバシティ」の考え方は、外国人の子女が学ぶ学校などでも教えられています。つまり、教育の過程でも、多様な価値観の中で考え、影響を受けながら学ぶという「ダイバーシティ」の考え方は、これからの時代において非常に大切なのです。 21世紀は、世界的に加速度的な変化が進み、国内外での競争が激化しています。いずれ競争力を得るためのイノベーションが生まれ、日本でも移民が始まり、人々の属性や価値観、消費者ニーズも多様性します。 今の会社組織は、もはや過去の日本的年功序列制度のように、定年までのんびり働いていればOKのいう場所ではなくなりました。常に自分を高め、いかに組織に貢献するかが問われる時代になったのです。 違ったものの見方ができる人が集まる組織が、健全であり、強いのです。そして、この多様性がビジネスにおける競争力の源泉となるのです。実際にダイバーシティを効果的に進めた企業では、多様な社員の違いを戦略的に活かすことで企業の競争力強化につなげた事例が数多く出ています。社員一人ひとりの違いが不利にならず、全社員が持っている能力と可能性をフルに発揮して貢献できるよう、ダイバーシティを推進していくことが企業の将来の繁栄へつながっていくでしょう。 ダイバーシティ施策が単なる福利厚生や社会的責任で終わってしまわないように、自社のダイバーシティの定義と属性を決め、推進理由と企業メリットへつなげる具体策を説明し、全社に浸透させる必要があります。そして、ダイバーシティ環境を整えながら、社員一人ひとりがダイバーシティへの正しい理解を共有化し、実践に向けての意識と行動変革を促していくのです。 最後までお読みいただきありがとうございました。 関連コンテンツ コンテンツライブラリ マイクロe-ラーニング マネジメント向けコンテンツ

  • タレント・マネジメントとは

    「タレント・マネジメント・システム」については、企業規模の大きい、特に海外などに支社支店が多いクライアントからよく問い合わせがあります。グローバルな拠点展開をするにあたり、慢性的な人材が不足している状態、いわゆる「人材難」はかなり深刻な問題のようです。 今回はそうした「人材難」を解消する方法として、そして今や大切な経営課題でもある「タレント・マネジメント」について、少しまとめてみたいと思います。 目次 タレント・マネジメントとは HRMからTMへ タレント・マネジメントが注目される理由 タレント・マネジメントのメリット タレント・マネジメントを支えるシステムの構築 タレント・マネジメントをスムーズに進めるには タレント・マネジメントの今後 最後に 関連コンテンツ タレント・マネジメントとは 国内では2010年ごろから急激に注目を浴び始めたタレント・マネジメント・システムですが、欧米では1990年代から研究がすすめられ、2000年に入ってからが導入を進める大手企業が出始めました。 当時のアメリカはMcKinsey&Companyの提唱した「War for talent(人材育成競争)」が盛んにおこなわれ、優秀なタレントを如何に発掘して自社に取り込めるかが新たな経営課題となっていました。 その背景には、欧米企業では、優秀な人材ほど、自らのキャリア・アップのため積極的に転職するケースが多く、後継者が育たなくなり、やむを得ず場つなぎ的に外部人材を登用すると言う悪循環がありました。また、大企業ほど短期的な視野で、業績や人材を評価する傾向が依然として強いということもあり、育成がおろそかになり、競争力を急速に落とす企業も現れていました。 こうしたことを反省し、グローバルで中長期的な視点で、人材活用や人材開発の必要性があったのです。 「Talent Management(TM)」を直訳すれば「才能管理」となりますが、意味的には「人財管理」に近く、従業員が持つタレント(英語意「能力・資質・才能」)やスキル、経験値などの情報を可視化し、人事管理データとして戦略的な人事配置や人材開発を行うことをいいます。 「なんだ、そんなことやっているよ」と思われる方も多いかと思いますが、確かに今までも似たようなことをやっていた企業は結構多いようです。ただ、その考え方や手法については部分的であったり体系化されておらず、またシステムとの連携など様々な面で、さらなる進化の段階にきているというのが、今の「タレント・マネジメント」です。 下記は世界最大の人材マネジメント協会SHRMの「タレント・マネジメント」の定義です。 “SHRMの「タレント・マネジメント」の定義” 人材の採用、選抜、適材適所、リーダーの育成・開発、評価、報酬、後継者養成等の人材マネジメントのプロセス改善を通して、職場の生産性を改善し、必要なスキルを持つ人材の意欲を増進させ、現在と将来のビジネスニーズの違いを見極め、優秀人材の維持、能力開発を統合的、戦略的に進める取り組みやシステムデザインを導入すること。 米国人材開発協会ASTD(ATD)(会員7万人の人材開発のプロ集団)の定義ではこのようになっています。 “ASTD(ATD)の「タレント・マネジメント」の定義” 仕事の目標達成に必要な人材の採用、人材開発、適材適所を実現し、仕事をスムースに進めるため、職場風土(Culture)、仕事に対する真剣な取り組み(Engagement)、能力開発(Capability)、人材補強/支援部隊の強化(Capacity)の4つの視点から、実現しようとする短期的/長期的、ホリスティックな取り組みである。 双方とも強調するポイントとしては「人材の採用・獲得」「人材の開発」「人材の適材適所配置・選抜」「能力開発(キャリア計画)」などになります。 HRMからTMへ 旧来の伝統的なヒューマン・リソース・マネジメント(HRM)では、経営者や管理者の視点から、仕事・業務中心に、人材の育成と配置が行われてきました。このタイプのHRMでは、偏った視点による判断と、体系化されていない育成方法により、正しい人材活用とさらなる育成には限界が見えていました。 以前のHRMの問題点 統一した人事評価、管理ができていないことから適切な人材を選定できない。 能力に合わせた能力開発・育成システムがないので人材が伸びない 部署単位で管理されているため、全企業グループ内の埋もれた人材を把握できない 欠員や新規プロジェクトがあっても、適任が分からずビジネスにスピードが出ない こうした欠点を克服させるために、人材マネジメントの視点を、従来の経営者的発想から、現場中心、職場の人中心の考え方に転換するようになります。 それは、タレント・マネジメントを導入するのであれば、まず「人材に対する考え方」を改める必要があるということです。 人材は単なる歯車の一つではなく会社全体の「財産」であると認識する 会社側は、個々のタレントの活用や育成に対する方針を明確化してあげる必要がある 会社が長期的な視点からタレント育成に取組むことに関心を持ち、社員が行動に移すことができる社内環境を整える こうした意識改革により「ヒューマン・リソース(人材)」から「ヒューマン・キャピタル(人財)」に考え方は変わり、時代は人財育成重視のマネジメントに切り変わっていきます。 大切なのは、「人財は、配属先の所有物ではなく、会社全体の財産である」という考え方です。 タレント・マネジメントが注目される理由 人材マネジメントにおいて「タレント」とは、「組織のパフォーマンス向上に大きな影響を与える能力を持つ人材」のことを指して言いいます。 弊社クライアントでは、グローバル展開している大手企業での導入が盛んです。これはやはり、企業がグローバル展開を進めると、まず最初に直面する問題として、グローバル展開に必要な多様性のあるタレント不足、「人材難」が避けられないからでしょう。 海外企業との競争でスピードが求められ、結果が出ないうちに見切りをつけ配置転換をするという事態が起き、結果としてパフォーマンス低下につながるというケースも少なくありません。このような経緯から、2010年以降は人材を活用、発掘、育成する「タレント・マネジメント」を本格的に取り組む動きが見られるようになりました。 ではタレントマネジメントのメリットはなんでしょうか? タレント・マネジメントのメリット タレント・マネジメントの導入によるメリットとして先ず挙げられるのが、人材の適正配置による効果です。人材の持つタレントを一元化して把握しておくことで、役職に見合った人材を社内から迅速に配置することが可能となります。他にもタレント・マネジメントがもたらすメリットとしては、下記があります。 経営戦略に合わせた人員計画・育成を、グルーブ全体で最適化することができる 限られた人材を最大限に活用できるため、空いたポジションなどに相応しい人材を素早く配置できる 新規部門の設立やプロジェクトチームの結成時など、適性にマッチした人材を素早く選択できることにより、ビジネスがスピーディーになる 中長期視点での社員の育成が行える 自分の適性に合った職務に遂行することで個人のタレントや意欲を伸ばすことが可能となる 配置転換などで見失いがちなキャリア情報を蓄積して、可視化できる 逆にデメリットも考えてみますが、やはり運用の難しさや、データを入力する立場にある上長や管理者、メンターなどの負担増が真っ先に思いつきます。さらに旧式の日本型HRMの企業では、転換だけでも相当な時間とコストがかかります。 この問題はスモールスタートで徐々に組み込んでいくしか解決策はないような気がします。タレント・マネジメントの目標を絞って、最適配置なのか、適正評価なのか、人材育成なのか、プロジェクト編成なのかと、優先順位を決め、出来るところから取り組むのも良いと思います。 タレント・マネジメントを支えるシステムの構築 タレント・マネジメント・システムとは、タレント・マネジメントを効率よく実践するためのツールです。 人材管理だけでなく、分析やそれに基づいた最適な配置、能力開発を支援し、採用、優秀な人材の定着、リーダー育成、メンタルヘルスケアなどにも対応しているのが特徴です。 何よりも現場に眠るタレント情報を一元化し、わかりやすく「人材情報を見える化」することが求められます。 またグローバル展開企業においては、システムの多言語化、つまり英語等の外国語対応も重視されています。 そして、「ビッグデータ」をタレント・マネジメントに活用するシステムも開発されています。 混合されがちなんですが、従来の人事システムとタレントマネジメントシステムは、機能的に異なったものです。 従来の人事システム 目的:   人事部門の定形業務を支援すること。「管理」の視点に重心。  ユーザ:  人事部門の担当者  機能:   既存の社員の所属、職歴、評価、給与  提供形態: インストール型ソフト、SaaSなど タレント・マネジメント・システム 目的:   人材資源を経営戦略に活かすこと。「活性化、有効活用」の視点に重心。  ユーザ:  経営層・所属上長・本人  機能:   既存の社員の所属、職歴、評価、給与に加え、潜在的な能力や将来的な要員計画の可視化  提供形態: SaaS、クラウド型が主流 個々人のデータを収集し、日々蓄積することでデータベース化し、全社的に活用できるシステムを整えます。 ここで大切なのは、研修やセミナーへの参加を示す「スキル情報」よりも、実務経験から得る「キャリア情報」を重視すべき点です。タレントは参加したからといって身につくものではなく、逆に参加していなくても実務を通して身についている場合もあるからです。 一旦、タレント・マネジメントの基盤が整い始めたら、次のステップとしてキャリア評価システムを取り入れましょう。評価と個人の希望に沿って、キャリアパスを明示することもタレント・マネジメントの重要な役割の一つです。そのためには、この「評価」と「育成」の重要性を理解したマネジャー、リーダー、もしくはメンターを現場に配置することが必要です。 タレント・マネジメントをスムーズに進めるには 最初に述べた日本企業独自の「日本型人材管理」により、タレント・マネジメントがスムーズに行えない状況にある企業は多いようです。現在でも終身雇用制時代に行われていた「部門固定型雇用」により、自由な人財の配置や育成の障害なり、人材流出を起こしているケースが多々見られます。 繰り返しになりますが、「人財は、配属先の所有物ではなく、会社全体の財産である」という意識に変わることが大切です。一度配属されたら配属先が勝手に使うのではなく、会社が管理し、財産として適切に運用できるようにしなくてはいけません。 本来タレント・マネジメントでは、人材の採用・配置や評価・育成は一元的に行われなければいけません。したがって、タレント・マネジメントを進めるには、まず「日本型人材管理」から脱却する必要があるのです。 そして、「タレント」として何を重視するかの考え方も変える必要があります。 ラーニング・マネジメント・システム(LMS)を導入している企業は多いと思いますが、LMSが蓄積するものは、あくまでも研修や学習で取得した「スキル情報」です。 しかし、「タレント」として重視されるのは「スキル情報」だけではなく、これらのスキルを「実際の業務で如何に活用」してきて、どのような「実績」を積んできたか、更には「どんな方向を目指しているのか」を表す「キャリア情報」が重要なのです。 タレント・マネジメント・システムを正しく機能させるためには、その入力データの評価をする立場の人間が非常に大切です。つまり、マネジャー、リーダー、メンターが、育成の重要性を十分理解していないと、タレント・マネジメントは機能しません。そのための企業風土や育成への考え方など環境整備も同時に行う必要があります。 企業風土や環境整備を進めるには、トップの理解と、現場の理解がどれだけ得られるかが肝になります。いかに組織横断的な相互支援態勢をとれるかにより、タレント・マネジメントの成果は大きく違ってきます。中長期的に労働力が減少していく中、社員のキャリア開発と適材適所をより的確に進めることで、社員のロイヤルティーを高め、社員の能力を発揮させやすくしなければなりません。 タレント・マネジメントの今後 海外の投資家では「タレント・マネジメントに熱心な企業はイノベーションが起こりやすい活力ある企業風土である」と考えられています。つまり、「タレント・マネジメント」に対する投資は「対外的企業価値アップ」への投資でもあるのです。そのため、どういったタレント・マネジメントを行っているかを公開することが、海外では当たり前のように行われています。こうした動きは徐々に日本でも行われており、これを見据えたタレント・マネジメントの検討が行われています。 そして、今話題のキーワード「ビックデータ」です。タレント・マネジメントのデータとして、ビックデータを解析して、今まで見えなかった「人材の価値」を可視化しようという試みがたくさん行われています。 具体的には、「優秀なタレントの行動」などをビックデータから抽出し、それとマッチした人材をピックアップすることができるシステムなどが登場しています。 最後に 最後に「タレント・マネジメント」に非常に密接にかかわる育成手法に「コーチング」と「メンタリング」があります。メンタリング&コーチング活動は、人を中心に、中長期的視野でキャリアと心を支援するタレント・マネジメントには欠かせない要素なのです。特にリーダー育成やメンタルヘルスケアでも、いかに「コーチング」と「メンタリング」を機能させられるかにかかってます。 グローバル展開の鍵になるともいわれている「タレント・マネジメント」ですが、日々いろいろな要素を取り入れつつ発展しており、これからも目が離せない状況が続くと思われます。 最後までお読みいただきありがとうございました。 関連コンテンツ レビックグローバルのラーニングマネジメントシステム SmartSkill Campus(スマートスキルキャンパス) SmartSkill Campus(スマートスキルキャンパス)は組織内に散在するナレッジや情報の共有、業務レベルの向上や均質化、教育・研修やタレントマネジメントに最適なeプラットホームです。

  • コンピテンシーとは(その2)

    前回は、「コンピテンシー」と「コンピテンシーモデル」についてご説明しました。 自社の各事業部のハイパフォーマーの基礎能力や技術・ノウハウ・習慣に至るまで細かに観察し、その人が「仕事ができる所以」を明確にした「コンピテンシー」を、行動基準や評価基準に導入することによって、他の社員の行動の質を上げていこうというのが「コンピテンシーの活用」です。 「コンピテンシーの活用」には、「コンピテンシー・モデル」と「コンピテンシー・マップ」が使われます。 目次 コンピテンシー・マップを作る 採用時にも導入されてきたコンピテンシーモデル コンピテンシーを成長させる人材育成 コンピテンシー能力開発に役立つ教材 最後に 関連コンテンツ コンピテンシー・マップを作る 「コンピテンシー・モデル」は、自社の職種に応じて必要な基準を明示することで、社員に明確な目的を与え、業績向上を図るものでした。その企業人として全員に必要とされる共通項目に加えて、職種に応じた専門知識やスキル、人間性などを具体的な目標で提示します。この目標がコンピテンシー・モデルの具体像となり、社員はこれを目標として成長します。 当然ですが、このコンピテンシー・モデルは、成長過程において変化するはずです。 例えば、昇級して管理職などに役職が上がれば、管理職として要求される内容に変化します。こうしたグレードの変化とそれに紐づけた能力試験などをマップにしたものが「コンピテンシー・マップ」になります。 コンピテンシーマップを作り、社員に対して公開することにより、コンピテンシーモデルをただ提示するのではなく、将来的な成長のイメージを植え付けることができるため効果的であると言われています。 採用時にも導入されてきたコンピテンシーモデル 面接で優秀だと判断した人材が、入社後、期待したほどの成果を出せなかったという経験をお持ちの採用担当の方は多いかと思います。 リーダー候補を見極めるのに適した「インシデントプロセス面接」のように、採用候補者の潜在能力を面接で見極めようというのが「コンピテンシー面接」です。つまり採用面接において、予め「できる社員」を採用できれば理想的であるのは言うまでもありません。そこでコンピテンシーモデルを使った面接や採用試験に導入する会社が増えてきたのです。 自社内でのハイスコアラーを分析し、そこから定義されたコンピテンシーを採用試験や面接の要件として取り入れます。すでに自社で成果を上げている人のコンピテンシーモデルなので、これに似た人を採用すれば、その人は成果を残せるのではないか?というのが根拠です。なんとも単純に聞こえますが、自社のハイスコアラーからコンピテンシーモデルを分析し、試験ツールを提供するといったサービスも現れています。 当然ですが、コンピテンシー面接は、通常の採用面接と質問内容が異なります。通常の採用面接では、志望理由、自己PR、前職・学生時代の取り組み、キャリア観、将来像などの質問をして、その受け答えによって総合的に判断します。しかしながら、面接官によって質問方法や評価基準にバラつきが出てしまい、本来、候補者が持っているポテンシャル(もしくはポテンシャルのなさ)を見抜けないことがあります。「コンピテンシー面接」は、面接の評価のブレを少なくし、見込み違いの発生を防ぐのにも有効なのです。 コンピテンシー面接は、候補者の過去の取り組みに関して質問を重ねて、それを具体的に事細かに掘り下げていきます。これにより、候補者の「行動動機」「思考方法」「実務能力」などをあぶりだすのです。候補者が説明する一連の内容(取り組みにおける問題解決プロセスなど)に矛盾がなく、候補者が持つスキルなどが自社のハイパフォーマーと照らし合わせて再現性があると感じられれば「コンピテンシーがマッチしている」と判断できます。 志望者の多い大企業では、コンピテンシーの考え方を、面接前のアンケートやテストに盛り込んで、事前にふるいをかけて候補者を絞り込むのに使っている企業もあります。 「コンピテンシー面接」は、Googleで採用している面接方法「構造化面接法」のなかの一つ、候補者の過去の取り組みについて質問を重ねて細かく聞き出す「行動面接(STAR面接)」にも取り入れられているそうです。 コンピテンシーを成長させる人材育成 コンピテンシーを成長させるための人材育成は、従来の新入社員研修や中堅社員研修、管理職研修などの階層別教育や、語学やPCスキルアップ研修などと異なります。コンピテンシーは行動特性を明文化したものなので、コンピテンシーによる能力開発(コンピテンシー開発)は「行動」に焦点をあてて行われなければいけません。 実際にその効果を測定される場合には、まず「行動変革あるいは行動の習慣化が行われているか」を観察し、中間成果の改善あるいは達成を判断します。そして最終的には業績の改善あるいは向上がみれらるかを数値的に判断します。コンピテンシー開発は、業績に直結しており、その影響をデータなどできちんと把握できるようにすることが大切です。 コンピテンシーの能力開発において重要なのが、上司や先輩による「コーチング」や「メンタリング」などのフォローです。対象者の行動や結果に対して、的確でタイミングの良いフィードバックを与えることにより、コンピテンシー開発のプロセスがスムーズに働きます。 コンピテンシー能力開発に役立つ教材 コンピテンシーモデルを使って人材育成を行うことにより、全体の成果が上がる可能性が高まります。また、現在目立たなくても、好業績を生む可能性を持った人を、埋もれさせずにすむ可能性があるのです。 コンピテンシー能力開発においては、行動特性を促すビジネスマインド系と、その行動を支えるスキルとして、コーチング、リーダーシップ、モチベーションなどの人材開発教材、トレーニングなどが使われます。弊社でも、クライアントのコンピテンシーに基づいたコンピテンシーマップを作り、それに教材を配置する形でLMSを提供しています。 最後に コンピテンシー能力開発では、本人の自覚とそれを定期的に評価するシステム、そして、スキルアップのツールの提供が必要です。 何よりも大切なのは、自社のハイパフォーマーの行動分析をしっかり行い、因果関係を明確に分析したうえで、正しくコンピテンシーモデル設定することです。そのプロセスで「自社の強み」と照らし合わせてコンピテンシーモデルを決定すると良いかと思います。 最後までお読みいただきありがとうございました。 関連コンテンツ 新入社員向けコンテンツ 若手・中堅社員向けコンテンツ マネジメント向けコンテンツ

  • ダイバシティとは

    近年、「ダイバシティの推進」をスローガンに掲げる企業が増えています。 経営戦略としての「ダイバシティ」の考え方は、多国籍・多人種の典型的な国家である1990年代のアメリカで発達しました。日本でも日本経団連などで推進されています。またここ数年のダイバシティ推進で、大きく業績を上げている企業もあり、かなり注目されています。 今回はこの「ダイバシティ」についてお話ししたいと思いますが、「ダイバシティ」と言ってもいろいろな視点がありますし、若干誤解されている点もあるかと思いますので、内容をダイバシティの意味を整理した「ダイバシティとは」と、その推進施策の1つである「ダイバシティマネジメントとは」の2回に分けて掲載させていただきます。 目次 ダイバーシティとは ダイバシティの歴史と日本企業への導入 ダイバーシティを企業に取り入れることとはどういうことか? ダイバシティのメリット ダイバシティの課題 最後に 関連コンテンツ ダイバーシティとは 「ダイバーシティ」とは、英語の「diversity」で「多様性、種々、雑多」と訳され、意味的には「多様性」をあてています。 では「多様性(たようせい)」とは何でしょうか? よく耳にするのは「生物の多様性」と言った使い方です。これは地球環境の中で様々な「種」の生き物が共存している事を指しています。 Wikiで「多様性」は、「幅広く性質の異なる群が存在すること。 性質に類似性のある群が形成される点が特徴で、単純に”いろいろある”こととは異なる。」と定義されています。 この「幅広く性質の異なるものが存在すること」は、ビジネスでは「多様な人材」を指し、戦略としての「ダイバーシティ」とは「多様な人材を活かす戦略」という感じになるかと思います。 ビジネスにおける「多様性」の意味としては、下記のように解釈するのが一般的なようです。 ”メンバーにある様々な違いを尊重して受け入れ、その「違い」を積極的に活かすことにより、変化しつづけるビジネス環境や多様化する顧客ニーズに最も効果的に対応し、企業の優位性を創り上げること” 「様々な違い」をデメリットからメリットとしてうまく活用するために、「様々な違い」を尊重して受容する環境を築けば、メンバーのコミュニケーションが円滑になり、さらに多様な視点が「新たな価値」を創造する可能性を高めてくれるというのがダイバシティ活用の狙いです。 ダイバシティの歴史と日本企業への導入 冒頭で少し出ましたが、ダイバーシティの発祥の地は米国です。当初は女性や有色人種などマイノリティの雇用機会の均等として進められ、差別是正や人権尊重が主な目的でした。 このように、初期は企業の社会的責任や福利厚生的な側面が強かったのですが、やがて1990年代後半になると、アメリカ社会の「人口構造の変化」がダイバーシティのコンセプトを大きく変化させていきます。 1990年代後半になると、米国の白人男性労働者は高齢化が進み、少子化傾向で人口が減少する反面、労働力における女性や白人以外の移民・有色人労働者の割合が急激に増えていきます。 この問題は「労働力の変化(雇用の変化)」だけでなく、消費者の変化、つまり、「市場の嗜好」にも現れ始めました。今までは「白人」をメインターゲットにしていた市場に、それ以外の「女性」や「移民・有色人」が作り出すニーズの割合が増えたのです。これは市場を形成する消費者の割合の変化が、企業収益に大きくかかわってくることになり、企業は自社内の「女性」や「移民・有色人」の声に耳を傾けるようになりました。 このように2000年代の米国では、「市場」と「雇用」双方からダイバーシティの重要度が大きく増したのでした。最初のきっかけは人権問題ですが、現在のダイバシティは、市場で有利になり、多くの消費者・株主・労働者に支援されて経済成長するための経営戦略として期待され取り入れられているのです。 では日本はどうかと言うと、日本は移民は少ないですが、米国よりさらに極端な人口減少時代に突入しています。高齢者の増加、若年層の減少、一人暮らし世帯の増加など、これまでの人口構造とは大きく異なり、さらにこれが「国内市場の縮小」という変化を生み出します。そして、少ない市場でやっていけなくなった日本のビジネスシーンは、IT化とグローバル化に活路を求めるようになり、企業は持続的に成長するために、ダイバーシティの推進に力を入れるようになりました。 旧日経連の「ダイバーシティ・ワーク・ルール研究会」では、以下のように定義されています。 「異なる属性(性別、年齢、国籍など)や従来から企業内や日本社会において主流をなしてきたものと異なる発想や価値を認め、それらをいかすことで、ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応し、利益の拡大につなげようとする経営戦略」 「日本社会において主流をなしてきたもの」とは、「大卒男性社員の終身雇用」といったような、かつては日本成長を支えた日本流ビジネス概念を指し、それが今や成り立たなくなってきたことを示しています。 ただ、外国籍のメンバーとの協業の機会のまだまだ少ない日本では、ダイバシティはどちらかと言うと男女の雇用機会均等などの観点から注目されることが多いと思います。 しかしながら、ダイバシティの本質は、単なる男女平等やパートタイマーや外国人労働者の雇用だけの問題ではありません。性別や人種と言った異なる属性を認めるだけでなく、彼らから生み出される異質な発想や価値までを取り入れるが、本当のダイバシティなのです。 その意味で言えば、日本のダイバシティは今後さらに本格的な変化を求められるようになります。 “(参考)ダイバーシティの具体的な属性” ダイバシティの理解を深めるにあたり、まず、ダイバシティにおける属性の違いにはどのようなものがあるかを考えてみます。 ダイバーシティは2タイプの属性から成ります。 1つ目は「その人の本質的なこと」です。具体的には「年齢、性別、国籍、人種、障がい、LGBT(性的マイノリティ)※」といった属性です。 ※LGBT=レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーを指す表記。 2つ目は、本質的なもの以外のその人を取り巻くものです。具体的には「雇用形態、婚姻状況、宗教、嗜好、収入、親の職業、出身地、価値観」など、その人を取り巻く環境の属性です。 一般的にダイバーシティの属性は「性別、年齢、国籍」など表面的にわかりやすいものが取り上げられますが、実際にはそれ以外に表面的には見えない「家族構成、趣味や価値観」などの要素も含めて考える必要があります。 ダイバーシティを企業に取り入れることとはどういうことか? ダイバーシティの概念を取り入れるのであれば、企業は、個々人の「違い」を尊重し受け入れ、その「違い」に価値を見つけ、性別、年齢、国籍等にかかわらず個人の成果、能力、貢献だけを適正に評価し、全員が組織に平等に参画し、能力を最大限発揮できるようにすることが必要です。 これらを実行することにより、「組織のパフォーマンスを向上させること」がダイバーシティの目的です。 ダイバーシティを成功させている企業は、多様な人材の採用や定着ではなく、その先の「活用」にフォーカスして取り組んでおり、企業内の人材を誰ひとりとして無駄にしないことへつなげています。 このことについては、次回「ダイバシティマネジメントとは」で詳しくご説明いたします。 ダイバシティのメリット 企業がダイバーシティの推進に積極的になってきているのは、ダイバーシティがビジネスでの競争優位性をもたらしてくれるからです。 では、どのようなメリットがあるのでしょうか? ダイバーシティが企業へもたらすメリットは様々ですが、よく言われているのは下記のメリットです。 ダイバーシティのメリット 広範囲からの優秀な人材の確保と活用 多様な市場での有利性の向上 メンバーの創造性・革新性の向上 各メリットについて、1つずつ見ていきましょう。 1.広範囲からの優秀な人材の確保と活用 IT化とグローバル化が進む21世紀の高度情報化社会では、高度な知識とスキルを持つ優秀な人材を国内だけで確保するのは非常に困難です。企業に高い成果を出してくれる有能な人材は、世界規模での争奪戦から確保する必要があり、そこに性別や国籍などの属性が入り込む余地はありません。 また、優秀で多様な人材ほど、ダイバーシティを真剣に取り組む企業は魅力的に映り、そのような人材が集まって来ると言われています。世界のトップ企業がこぞって、CMなどで多国籍の社員を見せて、自社のダイバシティ性をアピールするのはそのためです。 2.多様な市場での有利性の向上 海外企業でダイバーシティが重要視されるのは、優秀な人材の雇用の面だけでなく、多様化する消費者の嗜好や価値観をビジネスに結びつけるのに多様な社員が有効だという理由もあります。つまり、多様な社員がいれば、多様な顧客ニーズや要求に対して、営業、マーケティングや商品開発などで、迅速かつ的確に対応しやすくなるからです。 ある企業の例では、スペイン系住民が多く住む地域に、スペイン語を話せるスペイン系社員に営業を担当させたところ、売り上げが大きく伸びました。同様に他の企業でも中国系顧客が多い店舗に中国系社員を登用し、業績を向上させたりしています。 このようなメリットを得るためには、会社自身が多様になることが求められます。 3.メンバーの創造性・革新性の向上 創造性・革新性のある商品を開発するには、似たような性質の均一的なチームからはあまり期待できないかもしれません。 同質性の高い企業では、皆が似たような視点や価値観を持つため、革新的なアイデアや問題解決策は生まれにくく、多様化する顧客のニーズに適切に応えられなくなります。そのため、組織の競争力を低下させるのです。 革新性や創造性は、異なる視点、経験やアイデアなどが刺激し合い相乗効果によって生まれることが多いと言われます。 異質性の高い企業なら、多様な人材のさまざまな経歴、個性や能力をフルに発揮させることにより、変化激しく不確実な経済環境に柔軟に対応することが可能になります。シリコンバレーの研究者やエンジニアたちの過半数以上が「外国生まれ」という事実は、そのような「多様な人材の集まり」から、今までにない多くの斬新的な製品やサービスが生み出されている証拠です。 ダイバシティの課題 導入することで、企業の競争力を高めることができるダイバシティですが、問題点やデメリットも当然あります。 ダイバシティの一番の問題点は、異質なもの同士が協業することによる「誤解」や「摩擦」などが引き起こす「トラブルの懸念」です。 昔の日本企業のように、同質性の高い集団は、一旦決定されれば、コミュニケーションが取りやすく、スクラムを組んでスムーズで効率的に物事が進んでくれます。 一方、異質性の高い集団はどうしても、コミュニケーションへが取りづらく、異質ゆえの表現差や考え方の違いなどから、軋轢・摩擦・対立・誤解が発生しやすいものです。結果、それがチームワーク・パフォーマンスの低下や大きなトラブルに発展する危険をはらんでいます。これがダイバーシティの大きな課題です。 つまり、先のマネジメントを何も考えずに、単に多種多様な人材を採用するだけでは、企業メリットにつながらないばかりでなく、かえってデメリットが生じ、その結果、チームの生産性やパフォーマンスが低下してしまうことになります。異質なチームであるだけでは高い生産性や仕事の質は約束されないのです。 逆に、違いを適切に受け入れ、効果的にマネジメントすることにより、高い創造性を維持したまま、問題解決やチームの生産性へプラスに影響させることができます。 そのためにも、制度を充実させ多様な人材を「採用・定着」させるだけでなく、全社員の態度と行動にダイバーシティの尊重を反映させることにより、様々な違いを「受容する企業風土」を築くことが重要です。 そのために、全社員のダイバーシティへの正しい理解と適切な行動を促進する教育や意識改革が不可欠なのです。 最後に 今回は「ダイバーシティとは」についてお話しさせていただきました。 次回「ダイバシティマネジメントとは」では、このダイバシティの課題をもう少し詳しく説明し、それを解決する手段として、「ダイバシティマネジメント」についてご説明する予定です。 最後までお読みいただきありがとうございました。 関連コンテンツ コンテンツライブラリ マイクロe-ラーニング マネジメント向けコンテンツ

  • 研修代替とは

    昨年2020年に続き、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために、政府が大規模イベントの自粛や学校の休校を要請するなど、かつて経験したことがないような厳しい状態になっています。 企業においても、新型コロナウイルスの影響を受け、サービス提供を停止したり一部制限を行うなどのケースが出てきています。弊社でも、部署によりテレワークとシフト出勤を駆使したサービスや業務の継続措置が取られています。 各企業の人事担当者の方々も、今まで経験したことのないような困難な状況に苦労されているのではないかと思います。 弊社顧客の皆様からも様々なお問い合わせや相談が寄せられています。不慣れなテレワークによりメンタル不調者が出そうだとか、コミュニケーション不足による業務上の問題が生じたなど、今まではあまり気にしてなかったオンラインで業務を進める上での穴が見えてきたようです。 特にオンラインミーティングやテレワークなどは、BCPの中心課題でありながら、日本企業全体の対応の遅れがこの騒動で露呈しました。 人材教育分野でもさまざまな影響を受けていますが、弊社においてご相談が多い項目として「研修代替」のサービス提案があります。 ご存知の通り、集合研修は感染拡大防止のための3つの「避けるべき密」である三密(密閉・密集・密接)にモロに抵触するため、どう考えても実施は控えるべき状況にあります。その為、研修の延期や中止はコロナ騒動初期に続々と表明され、弊社パートナーの研修会社様からは悲鳴が上がっていました。 今回はこの「研修代替」をテーマに、このような火急の状況で研修などの人材教育として、どんなことができるのかを考えて見たいと思います。 目次 研修ができない状況を考える eラーニングで研修代替 オンラインミーティングシステムを活用した研修代替 ちょっと変わった研修代替サービス 最後に 関連コンテンツ 研修ができない状況を考える ある研修会社の話しでは、集合型の研修のリスクが大きいとして、昨年2、3月の時点ではまだ「研修延期か保留中」だった企業は半分くらいだったそうです。その後、状況の悪化によりほとんどの企業が「集合スタイルの研修」を「延期」から「中止」としました。昨年は、集合型の研修をほとんど実施できなかった研修会社もあると思います。 理由は言うまでもなく新型コロナウィルスの想定以上の感染力でした。集合研修が三密(密閉・密集・密接)の状況にあたるだけでなく、地方からの参加者を集めての集合研修の場合、新幹線などのハイリスク環境での移動や、研修に参加することで都心で罹患してしまい、地方支局に戻ってクラスターを発生させる2次リスクの危険性などもあったからです。 初期の段階では、集合研修のグループを分割し、3~5名程度でマスクを付けて距離を取って実施すれば大丈夫か?といった案もありましたが、感染が拡大していき、それでは対してリスクは下がらないとして、検討課題に上がらなくなりました。弊社でも昨年2、3月の段階ではマスクをつけて会議をしてましたが、4月に入りテレワークになり、会議はほぼオンラインでの実施となりました。 そうこうしているうちに4月になり新入社員が入社してくる頃になると、企業はさまざまな決断を迫られました。 株式会社パソナグループの調べによりますと、「入社式を実施しない」と答えた企業は26.2%、そのうちの50%は、「社長メッセージの配信」など代替施策を行う代替対策を行うと回答しました。 問題の「新入社員の入社時研修を実施しない」と答えた企業は7.7%でした。実施しないと答えた企業の80%は代替として「eラーニング」など代替施策を行うと回答しました。その他の施策としては、動画視聴等による研修や自宅学習という回答でした。 参考リンク パソナ「入社式および新入社員研修に関する緊急アンケート(2020.03.18リリース)」を開く(外部リンク) このようにメンバーを集めて行う研修が難しくなり、研修を始め人材教育はオンラインでの代替サービスが注目されました。 次は具体的な代替サービス例を考えてみたいと思います。 オンラインによる「研修代替」を考えるうえで、主に2つのアプローチがあります。1つは、「オンデマンドで行う」、もう一つは「リアルタイムで行う」です。 「オンラインでオンデマンドで行う」とは、簡単に言えばeラーニングによる独学習であり、「オンラインでリアルタイムに行う」は、オンラインで行う集合研修を指します。 eラーニングで研修代替 釈迦に説法だと思いますが、「eラーニング」とは、ネットワークを通じて時間や場所を選ばずに、各々が学ぶことのできる学習システムです。 eラーニングについては、2000年初期にブームがありましたが、今回の新型コロナ流行に伴い、eラーニングは集合研修の代替として再び注目を浴びています。さらに、これを機に多様化する時代に適応していくことのできる、自発的に学ぶ社員の育成促進としての役割も期待され、新たな局面に入ったという感触があります。 引き合いのあったeラーニングについて、この場で詳しい説明はしませんが、今回の研修代替ニーズの中心は「新人研修の代替」でした。4月からという時期的なものもありますし、他の研修と違い、「入社時のこのタイミングでやらないわけにはいかない内容」であるからに他ならないと思います。 一般な「新人事研修」の内容としては、トップからのメッセージなど「企業の事業説明や歴史」や社会人の心得や言葉使いなどの「ビジネスマナー」「職場のルール」「ビジネススキル」「Officeツールの使い方」などでしょう。 こうした内容は、仕事をする上で即必要とされるので、後伸ばしにはできないという業務上の事情があります。 幸いなことに、こうした新人教育用のスタートアップ教材は豊富で、弊社でもレベルやシチュエーションに応じてたくさん用意されています。 “参考リンク:新人関連のeラーニング教材・カリキュラム例” 新入社員向けコンテンツ こうした汎用教材では代替のきかない、「トップメッセージ」「企業の事業説明や歴史」と言った「その企業特有の研修内容」については、動画を撮影してオンデマンドで流すといった方法がよく取られています。自分達で作った動画などを教材にする場合は、汎用教材を見るだけのサービスではなく、自社でコンテンツのアップロードができるeラーニングシステムを選ぶ必要があります。 eラーニングはASPやSaaSでスタートまで短期間で始められるので、手続き面やコスト面も考えると、今回のような緊急時の研修代替としてはもっとも手軽かと思います。 特殊な研修でなければ、教材ラインナップも豊富ですし、提供サービスによっては、自社独自の研修内容の撮影や配信を代行してくれたり、スマホで撮影したものを動画配信の形式に変換して掲載してくれるサービスもあります。 eラーニングによる研修代替は、初めてのところでも中々好評なようで、特に動画によるeラーニングは、「文字より動画の方がスムーズに学べる」という、「YouTubeネイティブ」の新人世代に好意的に迎えられているようです。 eラーニングは、「研修会場手配が不要」、「資料の印刷配布が不要」「講師の手配が不要」「受講者の研修のための前泊手配が不要」と言った、人事部を悩ます手続き系の業務も解消してくれるというメリットもあります。 また、受講者側も自身で学習スケジュールを管理できるので、じっくりと各自の理解ペースに合わせて学習できるのがメリットです。今回のように自宅待機中でも、ビジネススキルを身に付ける機会として無駄になりません。 新入社員の教育にeラーニングによる研修を活用することによって、一定のレベルの教育を行うことができるはずです。人事教育担当者の負荷を軽減できますし、導入までのリードタイムも短いので、今回の緊急対策としてまずは「eラーニングによる研修の代替」をお勧めいたします。 オンラインミーティングシステムを活用した研修代替 eラーニングに対して、もう一つの「オンラインでリアルタイムに行う」方法は、オンラインミーティングシステムを活用した研修です。 ポイントは「リアルタイムで行う」ことによる効果です。 eラーニングは、あらかじめ決められた内容を個人で学ぶのにたいして、オンラインミーティングシステムは顔を合わせた対話式の研修ができるというメリットがあります。新人研修という性質上、不安なスタートを切った新社会人にとって、対話を持ってモチベーションをアップさせることができます。画面上とは言え、同期の存在が見えるのも大事な要素かもしれません。 また、内容もリアルタイムに作られるので、オリジナリティのある旬の内容で実施できます。業界の専門的なスキルに関する研修は、ASPサービスなどではカバーしきれません。学習内容の自由度が上がります。 デメリットとしては、サービスによっては「同時参加人数に限界がある」という点でしょう。多くのシステムは20~30人までです。企業や個人のPC・回線状況に左右されます。また、すべての参加者の画面をモニターに表示することは物理的に不可能な場合もあります。 ただそこは発想を変えて、講師の顔が映っていれば研修はできるので、参加者側画面はなくてもOKとするのもアリだと思います。30人以上の新人を抱えるような企業であれば、何らかのミーティングツールはお持ちかと思います。導入は思ったよりハードルは低いと思います。 参考までに、今回の新型コロナ対策に向けて無償提供・割安提供をしているサービスのリンクをご紹介します。 “参考リンク:新型コロナ対策に向けて無償提供・割安提供をしているサービス・企業” bellFace(ベルフェイス株式会社)を開く(外部リンク) もともとはオンライン商談システムですが、新型コロナウイルス 対策として「bellFace」を機能や利用人数の制限なく無償提供しています。 資料を共有し対面で会話できる、録音・録画機能もついているためフィードバックができるなど、商談システムの細やかな機能を使えます。 V-CUBE(株式会社ブイキューブ)を開く(外部リンク) Web会議システムとしておなじみの「V-CUBE」も5月末まで無償で提供されています。オンラインセミナーやイベントなどの開催も可能なので、研修だけでなく、セミナーなどにもご利用いただけます。 ちょっと変わった研修代替サービス せっかくなので、ちょっと変わった研修代替サービスもご紹介したいと思います。 全ての研修テーマを吸収することはできませんが、営業トークや接客トークの標準化を目的とした対人形式の集合研修の代替として、AIを使ったレポート形式での研修を始めた企業があります。「AI」を使ったトレーニングサービスを行っている「AI」を使ったトレーニングを行っているコグニティ株式会社様です。 プレゼンテーションや営業トークなど、ビジネスコミュニケーションのAI解析技術を持つコグニティ株式会社では、新入社員集合研修の代替策として活用できるサービス「リモトレAI(リモトレ・エーアイ)」を提供しております。 「リモトレAI」は、集合研修ではなく、社員一人ひとりが自宅やオフィスなど、それぞれの場所で商品説明などのトーク練習を実施し、フィードバックが受けられるサービスです。まず対象者は、ロールプレイなどの音声データをアプリまたはサイトからアップロードします。AIはその音声を解析し、トークの傾向を数値やグラフで示したフィードバックレポートを出します。企業側は、AI研修の成果として全員の平均値を示したサマリーレポートを受け取ることも可能です。 先にも述べた通り、すべての研修テーマをAIでというわけにはいきませんが、ロールプレイ研修がリモートで実現という点では、面白いサービスだと思います。 コグニティ株式会社 リモトレAI(リモトレ・エーアイ)を開く(外部リンク) 最後に コストや手間の面からも「研修を集めずにやりたい」というニーズは以前からあったものの、集合研修からeラーニングに切り替えることをためらっていた企業は多いのではないかと思います。 コロナウイルスによる影響がいつまで続くかはわかりませんが、個人的には当座の研修代替案としてまずeラーニングを、そしてコロナが落ち着いてきたら集合研修をといった対策が現実的ではないかと思います。 遅かれ早かれ、研修のオンライン化は今後加速すると思います。 2020-21年は入社式も実施しない会社がけっこうありました。新入社員の配属も、リアルなオフィスには行ってない会社もあります。いろいろなレガシィなものが変化していく流れを見ると、会社として社員を戦力化していく過程もリモートとなっていくことに対して疑問は感じないのです。 今回の新型コロナの流行で、人事部関連の関係者はかなりの決断を迫られたのではないでしょうか?これからの人事関連の業務には、確実に大きな変化が起こると思います。 今現在、採用面でもリモートの影響が出てきています。 今後は中途入社はもちろん、新入社員に対しても募集要項の中で、「リモートの可」をうたわなければ、採用がおぼつかなくなるでしょう。そうでなければ、人材を採用できなくなるからです。「フルリモートOK」までいかずとも、「週3リモート可」など、フレキシブルな採用条件がなければ、良い人材は獲得できなくなる状況になるかもしれません。少なくとも中高年の中途採用では、真剣に考えたほうが良さそうです。 新型コロナの被害は、ジョンズ・ホプキンス大学の調査によると、4月18日の時点で全世界で220万人、米だけで70万人の感染者がいます。米は600兆円にも及ぶ対策を講じるとも言われ、明らかにリーマンショックや国際金融危機よりも被害は大きく、1929年の世界恐慌に迫るか、それ以上のインパクトを与えています。 この大災害の敵は企業にとって競合企業でもなく、政府でもなく、戦争でもありません、見えざるウィルスです。我々は既存の考え方を見直し、この未曽有の事態に柔軟に対処していかなければいけないと思います。 個人的には「オンラインでの良質な教育コンテンツとは何か」を再度考え直す機会にしたいと思っています。 最後まで読んでいただきありがとうございます。皆様もお気をつけてお過ごしください。人類団結して頑張っていきましょう! 関連コンテンツ 新入社員向けコンテンツ

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